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EUVが実現間近か、250Wの光源を達成ASMLが「SEMICON West」でデモ(1/2 ページ)

ASMLが、「SEMICON West 2017」で、250WのEUV(極端紫外線)光源を用いたデモを披露した。EUVリソグラフィ用を商用化するには、250Wの光源が1つのマイルストーンとされているため、実際の量産ラインでの実用化は間近かもしれないという期待が膨らむ。

» 2017年07月20日 11時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

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250Wの光源

 半導体業界はこれまで、EUV(極端紫外線)リソグラフィ開発において、予想をはるかに上回る時間とコストを費やしてきたが、ついに量産レベルでの導入が実現しようとしている。

 半導体製造関連の北米最大の展示会「SEMICON West 2017」が2017年7月12〜14日に、米国カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)で開催された。EUVリソグラフィ装置メーカーであるASMLは、250WのEUV光源を用いたデモを披露し、長年の間実現が難しいとされてきた重要なマイルストーンをついに達成したと発表した。

 光源は、ウエハーを露光処理するためにスキャナーに送られるEUV光子量の測定値であり、生産性に直結する。半導体メーカーは長年にわたり、「125WPH(Wafer Per Hour:1時間当たりのウエハー処理枚数)を実現するには250Wの光源が必要だが、ASMLや旧Cymer(2013年にASMLによって買収)にはこうした技術を実現できる力がないという事実が、近年のEUV開発における主な障壁となっている」と主張してきた。

 ASMLで戦略的マーケティング担当ディレクターを務めるMichael Lercel氏は、「当社はこれまで、光源の変換効率を理解し、所定の位置で適切な制御を行うことにより、一貫して250Wのデモ実演に取り組んできた。250Wのデモ実演を行った光源を搭載した装置に関しては、まだ出荷を開始していない」と述べている。

 IntelやSamsung Electronics、TSMC、GLOBALFOUNDRIESなどの最大手半導体メーカーは、今後2年ほどの間に、EUVを量産工程に導入する予定だとしている。ASMLは2017年2月に、104WPHの生産性を達成しており、この時同社の経営幹部は、「当社は、250W光源のデモを実施する以前から、既に125WPHの実現に向けたロードマップを掲げていた」と述べている。

 250W光源というマイルストーンを達成したということは、2012年の約25Wから、この5年間で10倍の性能向上を実現したことになる。Lercel氏は、量産に向けたEUVの経済性についてプレゼンを行った中で、冗談まじりに、「私がCymerに勤務していた2007年初めごろから、250Wの光源を達成するという目標は、毎年、“翌年に実現する”と繰り返してきた」と語っている。

「Semicon West」に登壇したASMLのMichael Lercel氏

 Lercel氏によると、現在、ASMLが開発した14台の装置が実際に稼働していて、既に100万枚以上のウエハーの露光処理が行われたという。過去1年間では、50万枚以上のウエハーが処理されている。2017年初めには、同社の最先端スキャナー「NXE:3400B」の出荷を開始したところだ。

 報道によると、ASMLは2017年4月の時点で、受注残となっている21台のEUV装置が出荷待ちの状態にあり、そのほとんどがIntel向けのものだという。ASMLは2017年7月17日の週にも、2017年第2四半期の業績発表の場で、EUV装置の受注残について現在の状況を明らかにする予定だとしている。

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