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» 2017年07月26日 09時30分 公開

福田昭のストレージ通信(64) 強誘電体メモリの再発見(8):強誘電体メモリ研究の歴史(前編)〜1950年代の強誘電体メモリ (2/2)

[福田昭,EE Times Japan]
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初期の強誘電体不揮発性メモリ

 強誘電体材料を使った不揮発性メモリ(FeRAM)が世界で初めて提案されたのは、1952年4月のことである。米国マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の大学院に在籍していたダドレイ・アレン・バック(Dudley Allen Buck)が執筆した修士論文で、強誘電体キャパシターが不揮発性メモリに応用できること、強誘電体のスイッチがロジックに応用できること、などを指摘した。

 1953年1月には、ベル電話研究所(Bell Telephone Laboratories)のアンダーソン(J. R. Anderson)を中心とする研究チームがチタン酸バリウム(BaTiO3)の強誘電体結晶でキャパシターを試作し、不揮発性メモリとしての基本動作を確認している。メモリ動作を確認したことを報告したこの論文でアンダーソンは、大きさが1インチ角(25.4mm角)、厚みが0.005インチ(0.127mm)の強誘電体結晶に4000ビットのデータを格納できると述べている。メモリセルアレイはクロスポイント構造である。

 チタン酸バリウム(BaTiO3)を利用した強誘電体メモリは、動作が安定しないという問題を抱えていた。この問題は解決されることがなかった。さらに当時、電気システム用メモリの研究開発は、強磁性体を使った磁気コアメモリが主流となってきていた。磁気コアメモリは商品化され、メインフレームの主記憶に使われた。このため、強誘電体メモリの研究は下火になり、消滅していった。

初期(第1世代)の強誘電体メモリ。左は強誘電体による不揮発性メモリ考案したダドレイ・アレン・バック(Dudley Allen Buck)。中央は強誘電体キャパシターを記憶素子とするクロスポイント構造メモリのアイデアスケッチ(ベル電話研究所)。右は試作された強誘電体メモリの外観。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

(後編に続く)

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