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5Gの出発点、知っておきたい「フェーズ1」の基本2017年末に策定完了予定(1/3 ページ)

5G(第5世代移動通信)は実用化のスケジュールが非常にタイトなため、規格策定の計画が段階的に組まれている。まずは2017年12月に、フェーズ1の策定が完了する予定だ。これを機に、フェーズ1で取り扱われる「5G NSA(Non Stand Alone)」やミリ波について、知っておきたい基本事項を整理してみよう。

» 2017年10月20日 11時30分 公開

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5Gのフェーズ1、規格策定期限が迫る

 この数年間、研究者らは「5G(第5世代移動通信)とは何か?」という問いに対する答えを用意するために、新たなコンセプトと技術の探求に懸命に取り組んできた。

 この取り組みに関して重要な役割を果たすのが3GPP(3rd Generation Partnership Project)だ。3GPPは、無線通信規格の仕様を、合意に基づいて策定および公開している標準化団体である。5Gについても仕様策定のスケジュールを定めている。その中で、5Gのフェーズ1の仕様は「5G New Radio(NR)」と呼ばれている。5G NRの仕様は2017年12月を期限として定義される予定だ。つまり、その期限は刻一刻と迫っている(スケジュールは図1の通り)。

図1:5G NRに関するスケジュール。最初の仕様は2017年の終盤に公開され、2018年を通して更新される予定だ 出典:3GPP(クリックで拡大)

LTEと明白に異なる周波数帯と帯域幅

 5G NRフェーズ1の仕様は、現在のモバイル通信で一般的に使用されているLTEのプロトコルとはもちろん別物だが、類似点もある。最も明白な違いは、キャリア帯域幅と周波数帯だ。また、5G NRの仕様では、アナログとデジタルの両方の領域で、新たなビームフォーミング機能が追加されている。下記の表1は、LTEと5G NRの主な仕様を比較したものだ。

表1:LTEと5G NRの主な仕様の比較
比較項目 LTE 5G NRフェーズ1
周波数帯 最高6GHz 最高52GHz
キャリア帯域幅 最大20MHz 最大100MHz(6GHz以下の場合)
最大1GHz(6GHz以上の場合)
キャリアアグリゲーション 最大32 最大16
アナログビームフォーミング(ダイナミック) サポートしない サポートする
デジタルビームフォーミング 最高8レイヤー 最高12レイヤー
チャンネルコーディング データ:ターボ符号
制御:畳み込み符号
データ:LDPC符号
制御:ポーラ符号
サブキャリア間隔 15kHz 15k/30k/60k/120k/240kHz
自己完結型サブフレーム サポートしない 実装は可能
スペクトル占有率 チャンネル帯域幅の90% チャンネル帯域幅の最大98%

 早期の実用化を目指していることから、5Gのスケジュールは非常にタイトだ。その厳しいスケジュールに対応すべく、幾つかのフェーズに分けて段階的に作業を進められるよう、計画が立てられている。

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