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ISSCC 2018 日本の採択数13件で中国を下回る2018年2月開催(1/2 ページ)

2018年2月に開催される「ISSCC 2018」の概要が明らかとなった。アジア地域からの採択論文数は78件で、前回(2017年は68件)に比べて大きく伸ばした。しかし、アジアの国別採択数でみると日本は13件で、韓国と台湾に加え、今回初めて中国(香港とマカオ含め14件)にも抜かれた。

» 2017年11月15日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

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アジア地域から78件採択、前年より10件増加

 半導体集積回路技術の国際会議「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)」は2017年11月13日、東京都内で会見し、2018年2月11〜15日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催する「ISSCC 2018」の概要を発表した。アドバンストプログラムは、11月21日よりISSCCのウェブサイトからダウンロードすることが可能となる。

 ISSCCは、半導体集積化電子回路技術および、システム集積化技術に関して、最先端の研究成果が発表される国際会議である。65回目となるISSCC 2018のテーマは、「SILICON ENGINEERING A SOCIAL WORLD」。真につながった未来の社会を実現するために必要となる革新的な集積回路、システム化技術が紹介される。

 ISSCC 2018会期中は、4件の「基調講演」を始め、5件の「招待講演」、202件の「一般論文」の他、カンファレンステーマに沿った「フォーラム」や「パネル討論」「チュートリアル」「ショートコース」、デモ展示セッションの「インダストリアルショーケース」などが予定されている。

 なお、デンソーの専務役員を務める加藤之啓氏がアジアを代表し、「Future Mobility Society Enabled by Semiconductor Technology」というテーマで基調講演を行う予定である。また、「Silkroad Award」を北海道大学の研究チームが受賞した。

 会見では、ISSCC Far East Chairを務めるSungdae Choi氏とISSCC Far East Secretaryを務める高宮真氏が、ISSCC 2018のプログラム概要や技術トレンドを紹介した。また、機械学習向けチップやセキュリティなどの注目論文について、各担当者がその概要を説明した。

ISSCC 2018の会見で概要などを説明したメンバー

 ISSCC 2018に対する投稿論文数は611件で前回より30件減った。このうち採択された件数は202件で、前回より3件減少した。採択率は33%でほぼ一定している。地域別の採択論文数を見ると、北米地域からの採択数が89件(前回は98件)と減少。全体に占める構成比は44%で、前年より4ポイント下がった。アジア地域からの採択数は78件で前年より10件増えた。構成比も39%まで高まり北米地域に迫る。欧州地域からは35件で、前回より4件減った。

左は論文の投稿件数と採択件数などの推移、右は地域別採択論文数の推移 (クリックで拡大) 出典:ISSCC 2018

 採択論文を企業と大学で比較した。2018年は大学からの論文が前年より3件増え65件となった。逆に企業からは4件減り31件となった。企業からの比率は31%で、過去最低の件数になったという。前回に比べて欧州からの企業論文が7件減ったのが要因と分析している。

 アジア地域からの採択件数を国別にみると、中国(中国本土、香港、マカオ合計)の躍進が著しい。今回は詳細な数値を明らかにしなかったが、採択論文件数は日本の13件に対して中国は14件となり、初めて中国が日本の採択件数を上回った。この結果、アジア地域における採択件数は韓国、台湾、中国、日本の順位となった。また、アジア地域は、イメージセンサーやDRAM、機械学習&信号処理技術、フラッシュメモリ、電源回路などの分野で強みを持つことが分かった。

左は採択論文の企業/大学比率の推移、右は国別採択論文の推移 (クリックで拡大) 出典:ISSCC 2018

 地域別論文採択の傾向などについて関係者は、「日本は半導体企業や大学の研究室が減少しており、それが採択件数の減少につながった。一方で、多様化する研究体制の影響もある。現在は筆頭著者によって属性を分類している。ところが、現状は単独での研究よりも企業と大学、異なる国/地域の技術者同士が協調して研究に取り組むケースが増加している」と指摘。分類するためのルール変更も検討する必要があることを明らかにした。

日本論文の内訳 出典:ISSCC 2018

 日本の採択論文数の内訳は、企業から8件、大学から5件である。企業論文は2017年に大幅に落ち込んだが、2018年は横ばいとなった。こうした中で、IMMD(イメージャー、MEMS、メディカル、ディスプレイ)分野では強みがあり、日本企業からイメージャーに関連する発表が5件予定されている。

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