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「CES 2018」注目すべき4つのトレンドどんな分野で熱い戦いが?(2/3 ページ)

» 2017年12月25日 11時00分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

トレンド2:IoTの救い主? ブロックチェーン

 ここで、問題を直視する必要がある。プライバシーとセキュリティは、IoTの弱点である。通常、消費者が求めるものと、IoTビジネスコミュニティーが“もうけの手段”と見なすものとの間には、大きな隔たりがある。

 CES 2018は、このような大きな違いを埋められるような打開策を提案してくれるのだろうか。AccentureのRoberts氏は、「現在台頭している注目の最新技術『ブロックチェーン』は、IoTやスマートフォン、輸送システムなどに向けて、ハッキング不可能な手法を提供できる技術として期待されている」と述べている。

 同氏は、「ブロックチェーンはCES 2018の会場において、初めて重要な興味を引き出すことができるのではないか」と述べている。

 ブロックチェーンは基本的に、分散データベースのアイデアを基に構築されている。Roberts氏は、「ブロックチェーンは原理上、分散台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)を採用することにより、透明性と安全性が高く、審査が可能な上、停止状態に対する耐久性も備えた手法によって、データ共有を実現することができる」と説明する。

 ブロックチェーンはIoT業界にとって、特に効果的な技術だといえる。集中型ネットワークを廃止することにより、データベースの分散ネットワークを構築することができるからだ。Roberts氏は、「ブロックチェーンを採用すれば、特定ユーザーとの間で、一部の特定データだけを共有できるようになる」と指摘する。

ブロックチェーンの概要 出典:Center for Global Development(クリックで拡大)

 もちろん同氏は、ブロックチェーンが万能薬になるわけではないと認めている。まず、分散データベースの標準化が必要だからだ。加えて、エコシステム内の多くのプレーヤー企業が協業することにより、ブロックチェーンの真の価値を創造する必要がある。

 しかしRoberts氏は、「ブロックチェーンは、データベース規格を1つにまとめることによって、最終的に多くのビジネス分野で導入されるようになるだろう。流動性の高い社会では、極秘データが共有されるため、より高度なセキュリティの重要性が高まる」と述べている。

 ブロックチェーンは、それをサポートすることが可能だ。

トレンド3:3Dセンシング

 民生機器は常に、ユーザーインタフェースを中心として進化してきた。CESはここ何年もの間、メインテーマに新しいユーザーインタフェースを掲げてきた。例えば、任天堂「Wii」のモーションインタフェースや、Apple「iPhone」のタッチインタフェース、Amazon「Alexa」の音声インタフェースなどが挙げられる。

 2017年に発表されたAppleの「iPhone X」は既に、新しいユーザーインタフェース向けに、「タッチレス」という流行語を作り出している。タッチレスは、急速に民生機器のデフォルト機能になりつつある。

 iPhone Xの特徴の1つに、3D(3次元)センシング技術がある。amsのCEOであるAlexander Everke氏は、最近EE Timesが行なったインタビューの中で、3Dセンシングについて「エレクトロニクス業界のメガトレンドの1つであり、次の10年にわたり市場をけん引する分野」と表現した。amsはAppleのサプライヤーで、iPhone Xに搭載されている「TrueDepth」モジュールを提供している。

「iPhone X」の大きな特徴の1つでもある3Dセンシング 出典:Apple

 Everke氏は、センシング領域において3次元化というトレンドが広がりつつあると確信している。スマートフォン、インダストリー4.0、自動車、医療といった分野では、イメージングの世界が2Dから3Dに急速に移行しているという。

 3次元化、つまり“奥行き”のセンシングを実現するには、ToF(Time of Flight)センサーが鍵となる。ToFセンサーは、赤外線、光学、超音波など、さまざまな技術をベースにすることができる。Chirp MicrosystemsのCEO(最高経営責任者)であるMichelle Kiang氏は、2017年初めにEE Timesとのインタビューの中で、同社が開発したシングルチップの超音波ToFセンサーについて説明した際、「ToFセンサーを用いることにより、ユーザーは“スクリーンを搭載していないデバイス”ともやりとりできるようになる」と述べていた。

 ジャイロセンサーや加速度センサーなど従来型のモーションセンサーは、一般的にモバイルデバイスに搭載され、そのモバイルデバイスの動きを測定する。Kiang氏によると、3Dセンシングでは、デバイスが、「自らを取り巻く環境を認知できる」とする。良い例として、デジタル音声アシスタント(DVA)が挙げられる。3Dセンシング技術を搭載したDVAは、部屋の中にいる人の存在を検知すると自ら起動し、その人の音声を捉えようとする。

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