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ISSCC技術講演の2日目午前ハイライト(その1)、強化学習する超小型ロボット、Wi-Fi電波からエネルギーを収穫する回路など福田昭のデバイス通信(128) 2月開催予定のISSCC 2018をプレビュー(4)(2/2 ページ)

» 2017年12月26日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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2.4GHz帯Wi-Fi環境下でWi-Fi電波からエネルギーを収穫

 セッション8の「無線給電と環境発電」では、この時間帯としては最も多い、10件の発表を予定する。Wi-Fi電波からエネルギーを収穫するとともに微小な電力で稼働する自律動作回路や、高効率の無線給電(ワイヤレスパワートランシーバー)回路などが登場する。

 Oregon State UniversityとTexas Instrumentsの共同研究チームは、2.4GHz帯のWi-Fi電波からエネルギーを収穫する環境発電回路を開発した(講演番号8.1)。2.4GHz帯のWi-Fiが構築されている環境下で使う。回路の消費電力は960pWと極めて低い。収穫した電力が−34dBm(0.4μW)以上だと、回路が継続的に動作する。また収穫した電力が−31dBm(0.79μW)以上になると、コールドスタートが可能になる。製造技術は65nmのCMOS技術である。

 台湾National Chiao Tung Universityと台湾のRealtek Semiconductorによる共同研究グループは、70Wの大電力を90%と高い効率で無線伝送するシステムを報告する(講演番号8.2)。ゼロ電圧スイッチング(ZVS:Zero Voltage Switching)とゼロ電圧傾きスイッチング(ZDS:Zero voltage Derivative Switching)の両方を実現したE級のアンプを、窒化ガリウム(GaN)デバイスで試作した。整合点を自動で探索する回路を備える。GaNデバイスの動作周波数は6.78MHz。

 韓国のKorea Universityは、摩擦帯電を利用した環境発電回路を発表する(講演番号8.6)。高電圧2入力のバックコンバーターを基本としており、最大電力点追従(MPPT:maximum power point tracking)機能を搭載した。最大電力変換効率は51.1%、最大入力電圧は70V。製造技術は180nmのCMOSプロセスとBCD(Bipolar-CMOS-DMOS)プロセスである。

2月13日(火曜日)午前の注目講演(その2)。セッション8の発表から(クリックで拡大)

 次回は、セッション9〜セッション12の注目講演をご紹介する予定である。ご期待されたい。

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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