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広がり続ける中国半導体の裾野製品分解で探るアジアの新トレンド(24)(2/3 ページ)

» 2018年01月19日 11時30分 公開

LED電球型ワイヤレススピーカーの内部

 さて、図2は、LED電球型ワイヤレススピーカーの内部の様子である。内部は2つの基板で構成されている。

図2 図2:中国製LED電球型ワイヤレススピーカーの内部と、主な搭載チップのメーカーロゴ 出典:テカナリエ レポート

 1つは電源基板(図2左側)、もう1つの基板(図2右側)は信号処理(音声処理とBluetooth通信)を行う基板になっている。

 内部は、ほぼ中国メーカーおよび、香港メーカーのチップで構成されている。構成チップは電源系からデジタルプロセッシングまでに至る。それぞれのチップが担う処理、機能は決して高度ではないが、こうした処理、機能を同一地域のチップだけで賄えることは、重要である。この製品を日本メーカーのチップだけで作ったと仮定してみると、確かに日本メーカー製で電源、Bluetooth、プロセッシングなどは容易に入手できるだろう。しかしオーディオコーデック機能とBluetoothを組み合わせたチップは日本メーカーのラインアップにはほとんどない(ないわけではない)。シリアルフラッシュメモリも容易に手に入れられない(複雑な手続きをすれば日本メーカー製は手に入る)。いずれにしろ日本メーカー製チップだけで作るには骨が折れる。しかし中国メーカー製チップだけで構成される最終製品は多々存在し、今後はますます増えるものと思われる。

 図3は、レーダーによる人感センサーを内蔵した中国製LED電球だ。こうした商品も雨後のタケノコのごとく次々と中国から世界に向けて販売されている。このような商品も内部は中国製半導体だけで構成されているのが実情だ。

図3 図3:人感センサー搭載型LED電球とその内部構成 出典:テカナリエ レポート

 今後これらの半導体はさらに、組み合わせ、応用商品を生み出していくものと思われる。中国でも1つのパッケージ内に2つ以上のチップを入れたシリコンインパッケージ(SIP)が多く生まれている。特性の異なるものや、2つの機能を1つのパッケージに収めた半導体が中国からも続々と登場している。“既に存在するモノを単に並べて商品化する”という次元から、“自ら作り、組み合わせて、BOMやフットプリントを日々、改善させる”という次元のモノづくりを実現しているのだ。

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