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TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)特集

電源モジュールを小型、高効率化するパッケージ技術GaNやSiCの長所をさらに生かす

太陽誘電は「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)で、パッケージ技術「Power Overlay(POL)」を紹介した。

» 2018年04月20日 15時30分 公開
[松本貴志EE Times Japan]

 太陽誘電は「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)で、GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)を用いた電源モジュールに理想的なパッケージ技術として「Power Overlay(POL)」を紹介した。

ワイヤボンディングを排し、銅メッキで素子同士を相互接続

 POLは米GEが開発したパッケージング技術で、太陽誘電は2014年末にGEベンチャーズから知的財産をライセンスされ共同開発を行ってきた(関連記事:太陽誘電とGEが電子部品内蔵技術で協業)。

 POLでは、パワー素子やドライバ、その他受動部品はポリイミドフィルム上に接着される。素子が接着されたフィルムの下部よりボンディング位置にレーザー光を照射し、フィルムに貫通穴を設け、その穴に銅メッキを流し込むことで素子同士を相互接続するという技術だ。

Power Overlay(POL)の概要(クリックで拡大)

 ワイヤボンディングによるパッケージと比較して素子同士の設置間隔を狭められるため、配線長削減により寄生インダクタンスなど寄生成分の低下が可能だ。これにより、スイッチング高周波化と小型受同部品の採用に貢献し、モジュールの高効率化と小型化の両立を実現する。実装高さも抑えられるため、パワー素子に直接ヒートシンクを設置するなど熱設計の自由度も高められるという。

POLの特長(クリックで拡大)

 同社ブースでは、GaNハーフブリッジモジュールを展示。モジュールは10×12mmサイズで、GaN FETとドライバ、受動部品をPOLを用いて1チップ化。48V入力、19V出力でスイッチング周波数300kHz条件により動作させた場合、最大で98%超の変換効率を提供するとし、競合品と比較して2%の効率向上を達成したという。

左:展示されたGaNモジュール 右:同モジュールと競合品の変換効率比較

 POLは「数年以内の商用化を目指す」(同社担当者)とし、想定する利用領域にIT機器、産業機械とロボット、自動車を挙げる。同社担当者は「(同領域で活用が進む)GaN/SiCパワーデバイスのさらなる小型、高効率化に貢献する」としている。

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