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» 2018年07月04日 10時30分 公開

PCIM Asia 2018:パワエレで力を付ける中国、SiCで目立つ地元企業の台頭 (2/5)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

成長している地元メーカー

 三菱電機が、成長している地元メーカーの1つとして挙げたのが、2005年に設立されたStarPower Semiconductorだ。600〜3300VのIGBTモジュールなどの製品をそろえ、2017年の売上高は5億人民元(約82億円)である。同社のバイスプレジデントであるTony Xu氏によると、現在の注力市場は白物家電向けのインバーター、溶接機、EVだという。Xu氏は「IGBTモジュールについては、三菱電機や富士電機の品質と同等レベルまで向上できていると自負している」と述べる。同氏は「中国では政府の方針もありパワーエレクトロニクス市場の成長には、非常に期待している。実際、当社の製品についても、あらゆる製品へのニーズが強い」と続ける。

 Xu氏によれば、現在は売上高のほとんどが中国で、海外からの売り上げは全体の6%にすぎないという。だが今後は海外展開にも積極的に取り組むとしている。その足掛かりの1つとして、2015年にはドイツに研究開発拠点を設立すると発表した。

StarPower SemiconductorバイスプレジデントのTony Xu氏と、同社のブース(クリックで拡大)

 StarPower Semiconductorの他、北京世紀金光半導体、泰科天潤半導体科技も、著しい成長を遂げているメーカーとして名前が挙がったが、後者2社については、PCIM Asia 2018に出展していなかった。

「中国には特殊な市場がある」

東芝のブース(クリックで拡大)

 「中国には、中国ならではの特殊で面白い市場がある」と語るのは、東芝ディスクリートテクノロジーでディスクリート営業技術統括部 アプリケーション技術第二部 部長を務める多田昇氏だ。同社は中国で、発電から送電、アプリケーションまでを手掛けている。

 東芝にとって、特に大きなチャンスとなりそうなのが発電と送電だ。「日本は発電所と、電気を消費する場所が比較的近いため、送電距離が短い。だが、“西で発電、東で消費”という傾向を持つ中国では、送電距離が2000〜3000kmにも及ぶ。送電距離が800kmを超えると、交流送電よりも直流送電の方が初期コストが低くなるので、中国では今、電流ロスも少ない直流送電に移行しようとしている。こうした発電、送電の分野は、高速鉄道や自動車向けのパワーデバイスとは全く異なる製品や技術が要求されるが、そうした技術を持った中国メーカーは、まだいない。そもそも、世界に4社ほどしかなく、しかも、実績を持っているメーカーとなると、2社にまで減る。そのうち1社がわれわれ東芝だ」と、多田氏は語る。

 東芝が、発電、送電向け製品の一例として展示したのが、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor:電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ)*)である。東芝のIEGTは、6トンもの力で圧接することで、全ての電気的な接続を実現するPPI(Press Pack IEGT)と、プラスチックモジュール型のPMI(Plastic Case Module IEGT)の2種類がある。これらPPIやPMIを直列にスタックして、例えば、直流送電用変換器や、中電力以上のインバーター装置、静止形無効電力補償装置といったアプリケーションに使用する。

*)IEGT:電圧駆動で大電流を制御するパワーデバイス。

PPI(左)と、PPIを直列に実装した装置(クリックで拡大)

 多田氏は、「高速鉄道向けのパワーデバイスなどにも、もちろん力を入れる」としながらも、「同市場は競合が多過ぎるのも事実なので、発電や送電向けのような高電圧、大電流を扱うような、当社にしかできないような分野で勝負するのも重要だと考えている」と語る。多田氏は、パワーエレクトロニクス市場における中国メーカーについて、「中国には、他国にないような規模のアプリケーションもあり、パワーエレクトロニクスとして大変面白い市場だ。パワー系を手掛けるメーカーの数も多いが、今後の10年くらいで淘汰は進んでいくのではないだろうか。中国市場に参入したい外国企業にとって、いかに有力なパートナーを見つけるかが鍵になる」と述べた。

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