芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科の伊東敏夫教授は2018年7月、「確率共鳴」という現象を利用し、物体を識別できる距離を延ばすことが可能な技術を開発したと発表した。自動運転システムに応用すると、より遠くの物体を高い精度で検知することが可能となる。
芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科の伊東敏夫教授は2018年7月、「確率共鳴」という現象を利用し、物体を識別できる距離を延ばすことが可能な技術を開発したと発表した。自動運転システムに応用すると、より遠くの物体を高い精度で検知することが可能となる。
自動車の自動運転システムでは、LiDAR(ライダー)を用いて歩行者などの物体認識を行うことが有力視されている。ところがこの方法だと、遠距離になればなるほど物体の認識は、精度が低くなる。
そこで伊東氏は、「確率共鳴」という現象を利用した。これは、信号に最適化したノイズを印加すると、ある確率で信号が強まり、検知能力を高めることができる技術である。これにより、LiDARの遠距離認識性能を改善したり、遠距離での反射点群密度を向上させたりすることが可能となった。
開発した手法を用い、計測地点から20~80m離れた場所に位置する歩行者や二輪車、車両を検知する実験を行い、認識性能が改善されることを確認した。
開発した技術は、自動車の他、自動運転ドローンや自律移動ロボットなどの用途で、周囲の環境を認識する外界センサーとしての応用が可能である。また、確率共鳴の現象をLiDAR以外の画像処理やレーダーに応用することも視野に入れる。
伊東氏は、シニアカーに今回の技術を搭載した「自律移動モビリティ」を開発、共同プロジェクトによる研究活動を行い、2020年にも自動運転技術の実用化を目指す予定だ。
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