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» 2018年07月19日 11時30分 公開

製品分解で探るアジアの新トレンド(30):MediaTekが「OPPO R15」に送り込んだ“スーパーミドルハイ”チップのすごさ (3/3)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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スーパーミドルハイが主戦場

 図4は、Helio P60のプラットフォーム(左)とHelio X30(右)のチップセットの差を示している。

図4:「Helio P60」と「Helio X30」の差 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 スーパーミドルハイのHelio P60は、AIコアという新機能を有した上でチップ数を最小限に抑えた4チップ構成となっている。一方、ハイエンドのHelio X30はキメの細かい電源制御やトラッキングICなども持っているために、倍の8チップ構成となっている。いずれも優れたチップセットだが、点数が多いことから、コストが若干高くついてしまう。Helio P60はその点でもスマートフォンに必要な骨格機能を4チップに収め、コストを最小化しつつも、ハイエンドに匹敵する機能を収めているわけだ。

 またハイエンド市場は、自前化が著しく進んでおり、Appleは自前でA11プロセッサを有し、Samsungは「Exynos」プラットフォームを推進、中国メーカーとしてはHuaweiが自前のプラットフォーム「Kirin」を持っている。OPPO/VIVOやXiaomiなど、自前でチップを持たないメーカーへの供給(ZTEも含む)ではスーパーミドルハイが主戦場になっており、少しでもチップ点数が少なく、コスト効率のよいプラットフォームが重要になっている。

 図5は、若干映像を加工してぼかしているが(鮮明写真は有償)、Helio P60とHelio X30のプロセッサのチップ開封を行い、内部の構造が見えるように配線層剥離を行ったものである。ともにCPU、GPUに加え、LTEモデム、カメラISP、ビデオ機能などを持つ統合チップである。

図5:Helio P60とHelio X30のチップの比較 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 上位のHelio X30は3階層のCPUを持ち、2+4+4の構成で処理内容に応じて性能の異なるCPUにデータを振り分け、電力の最適化を行っている。Helio X30は、2015年に発表された「世界初」(MediaTek)となる3階層CPU「Helio X20」の後継チップとして、2017年にリリースされた製品である。CPUは、3種の異なるコアで階層化されている。

 一方のHelio P60ではCPUは2階層に抑えられ、面積は全体的に小さい。チップサイズも小さくすることでウエハー1枚からの取得数を増やしてコストを削減し、スーパーミドルハイ市場での競争力を高めている。P60はX30に比べて面積は二回り小さい。

 現在多くのモバイル系プロセッサが機能を増加させ、面積を拡大し続けている(より多くの機能を搭載できる7nmプロセスの開発が急がれているのは、それが理由だ)。そんな中、あえて機能を削り、面積を縮小させながらも、AIなどの新たな機能を取り込み、スーパーミドルハイにふさわしいチップを送り出したMediaTekは、注目に値するだろう。

 アジアのスマートフォン市場で最大規模のシェアを持つOPPOらの今後の動向とともに、MediaTekの次なる一手も気になるところだ。

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年に渡る半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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