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» 2018年08月16日 11時30分 公開

データセンターを支える光伝送技術 〜エンタープライズデータセンター編光伝送技術を知る(3)(2/3 ページ)

[高井厚志,EE Times Japan]

データセンターの分類

 データセンターは常に変遷して発展してきた上に、応用目的や機能が異なるので、単純な分類は難しい。最新のGCIでは、データセンターは「Traditional (non-Cloud)」と「Cloud」に分類されている。本稿では、分類の仕方は似ているが、光伝送技術の観点から、アーキテクチャが異なる「エンタープライズデータセンター」と「ハイパースケールデータセンター」という言葉を用いた。

 「ハイパースケールデータセンター」は一種の情報インフラであり、多くのインターネットデータセンターは、運用の安定化、柔軟性(拡張性)、設備投資と運用コスト低減といった理由から、規模やサービスに応じて「ハイパースケールデータセンター」に移転すると考えられている。

 しかし、金融は特にそうだが、他の多くの業種においても、「企業データのセキュリティを自己管理したい」と考えるところは、移転をためらう傾向がみられる。そのため、こうした自前のオンプレミスデータセンターも発展していくとみられている。こうしたオンプレミスのデータセンターを総称して、「エンタープライズデータセンター」という名称を用いた。

 現在、データセンターのサイト数は、エンタープライズデータセンターが圧倒的に多い。2015年の時点でエンタープライズデータセンターは世界に30万以上のサイトがあるとされ、日本でも8万サイト近くが運用されていた。その多くは、企業の業務をサポートする自前のデータセンターである。

 2016年のデータでは、ハイパースケールデータセンターは世界中で338サイト(北米に48%、アジアに30%、西欧に18%)が運用されている。ハイパースケールデータセンターのサイト数は少ないが、全世界のサーバ台数の27%を有している。2021年には、この割合が53%になるとの予測もある。

 さらに、地理的に分散された複数個のハイパースケールデータセンターを接続し、一つのデータセンターとして機能運用するための、高速、大容量の中・長距離伝送を用いたデータセンター間相互接続通信(DCI:Data Center Interconnect)が注目されている。

 もう一つ、最近注目が高まっているのがエッジデータセンターだ。自動運転やスマートファクトリーで注目されているが、IoTとAIを利用し、リアルタイムでデータを処理するために、応用の近くに置かれるデータセンターである。5G(第5世代移動通信)との連携も検討されている。IoTからのビッグデータをリアルタイムで処理する、新しいアーキテクチャが生まれる可能性があるのだ。

エンタープライズデータセンター

 エンタープライズデータセンターはクライアント・サーバ方式の発展形である。サーバとクライアントをつなげるインターネット(あるいは通信線)への接続を、効率、拡張性、信頼性、コストなどを考慮して設計される。なお、サーバにつながるストレージシステムはSAN(Storage Area Network)というネットワークで接続されるが、ここでも光伝送技術が用いられている。

 図2に典型的なエンタープライズデータセンターの構造概略を示す。サーバと、階層構造のスイッチとそれを結ぶケーブルで構成される。サーバの台数は数台から数千台に上る場合もある。サーバの台数や必要なデータ伝送能力、応用に応じて最適化されている。

 エンタープライズデータセンターでは、サーバと外部通信ネットワーク(あるいはインターネット)へのデータの流れが重要である。このデータフローを「南北トラフィック(North-South Traffic)」と呼ぶ。典型的なネットワークは南北方向にAccess層、Aggregation層、Core層(異なる名称もある)というハイアラーキーで構成されている。各層にスイッチが配置され、それらがケーブルで接続される。

図2 エンタープライズデータセンターの典型的な構成(クリックで拡大)

 システムの基本は、下位層からのデータを集め、上位層に伝送する、あるいは逆に上位からサーバ方向へ分配するというものだ。各層とのトラフィックを統計的に求め、上下接続のパイプの太さの比を決める。これを通信用語と同じOversubscription Ratioという。一般的に上位層ほどパケットが密になってくるため、Oversubscription ratioは低くなり、1本のケーブルの容量も大きくなる。

 このため、上位と下位へのリンクのデータレートが異なることがしばしば生じる。上位ほどパケットが集まり交換容量は増大するが、ソケット数の制限からソケット当たりのデータレートを高くする必要があるからだ。下位からは10GbEで伝送されてくるが、上位へは40GbEでアップする、といった具合にデータレートが異なっている。問題はデータレートによってインタフェースのソケット形状(Form Factor)が異なっていることである。この場合、システムに最適な構成のスイッチの選択が制限されることがある。図2に示したスイッチでは、アップリンクをオプションスロットとして、10GbEと40GbEの異なるデータレート(ソケット)を選べるようになっている。

 エンタープライズデータセンターでも、Disaggregation、Open Source、NFV(Network Function Virtualization)、SDN(Software Defined Network)と言った波が押し寄せている。今後はサーバやスイッチは低価格な汎用品を用い、仮想サーバやソフトウェアでデータセンターを応用に最適化していくような動向が見られるので、光のネットワークも単純化されていくと考えられる。

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