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» 2018年09月25日 14時00分 公開

数々の技術革新で適用範囲が拡大中!:東芝に聞く、メカリレーの代替に役立つ「フォトリレー」の基本と使用上の留意点

2つの回路を電気的に分離しつつ信号を伝達することで負荷を制御し、絶縁分離などの目的でさまざまな電子機器に多用されているリレー。このリレーには、同じような役割に対しさまざまな原理のデバイスが存在しています。このうち半導体によるフォトリレー製品を多数ラインアップする東芝デバイス&ストレージに、その活用法をお聞きしました。

[PR/EE Times Japan]
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 リレーは長い歴史を持つデバイスで、昔ながらの機械式動作を伴った独特の作動音のする電磁リレー(以下、メカリレー)を思い浮かべるエンジニアも多いことでしょう。メカリレーは今も広く用いられていますが、その実装や運用にはさまざまな制約や課題もあり、近年では半導体を活用したリレーへの置き換えが進んできています。その半導体によるリレーの一種で、メカリレー代替デバイスの有力候補とされるのが「フォトリレー」です。フォトカプラにおいて40年以上の実績を持ち、2010年から8年連続トップシェア*1)を誇る東芝デバイス&ストレージ(以下、東芝)に、メカリレーをフォトリレーへ置き換える際のポイントなどを聞きました。

制約や課題の多いメカリレー、置き換えの有力候補は?

――リレーを使用していますが、サイズが大きく、寿命の制約もあり困っています。

 メカリレーは、歴史が古く実績が豊富で、21世紀の今もいまだに産業機器の電気系など広く用いられています。ですが、構造の関係上どうしても小型化が難しく、接点の劣化により寿命が短めになりがちであるなどの課題もあります。他にも、接点のアークやバウンスによるノイズ、接点を動作させる電磁石コイルの逆起電力などが伴い、外部の磁気干渉や衝撃、振動などの影響も受けやすく、設計の上ではそれらに対する配慮も必要です。例えば多数のメカリレーを同じ基板上に並べる場合、磁気干渉を避けるため離して配置するといった必要があります。

 そこで、そうしたメカリレーを置き換える最有力候補となっているのが、フォトリレーです。入力側と出力側を電気的に絶縁しつつ負荷を制御するという機能そのものは同じですが、上述したような制約や課題はありません。フォトリレーはメカリレーに比べ、小型で長寿命、高密度配置が可能といったメリットがあり、置き換えることで機器の小型化やメンテナンス性向上などが期待できるのです。

各種リレーの分類 各種リレーの分類

メカリレーに対するフォトリレーの優位点とは?

――フォトリレーについて、もう少し詳しく教えてください。

 フォトリレーは、入力側はLED、出力側にはフォトダイオードとMOSFETなどの素子を組み合わせ、それら2系統を1つの樹脂パッケージ内に封止して構成されています。入出力双方の回路は電気的に絶縁された状態となっていて、いったん光に変換した信号を伝えることで負荷を制御する仕組みです。

 このような仕組みのため、フォトリレーはメカリレーに対して数々の優位点を持っています。例えば、組み込まれている素子が極めて小さいので、パッケージ全体も非常にコンパクトになります。その原理上、磁気干渉を受けることもないので多数のリレーを高密度に配置しても問題ありません。また、メカリレーのように接点が物理的に動作することがなく、電磁気やノイズ、音や振動も発生しません。接点寿命やホットスイッチ(電圧を印加した状態でスイッチを作動させること。メカリレーでは接点寿命に悪影響を及ぼすため非推奨)を気にする必要はなく、周辺回路への配慮も不要です。LEDやフォトダイオードなど半導体ばかりで構成されていることから、高速スイッチングにも対応でき、消費電力の面でも有利です。

 ただし、フォトリレーには出力容量など、一部でメカリレーに及ばない部分もあります。例えば産業機器などに多い高電圧/大電流用途では、フォトリレー化が難しいとされてきました。それでも近年では、MOSFETやパッケージなどの技術革新に伴い、フォトリレーの容量も向上、メカリレーを置き換えられる範囲も拡大してきています。今後もさらなる高容量化が進み、産業機器にも広く使われるようになってくるでしょう。

フォトリレーの構造 フォトリレーの構造

フォトリレー市場における東芝製品の優位点とは?

――最新のフォトリレー製品にはどのようなものがありますか?

 東芝のフォトリレーでいえば、前の回答でも触れたようにメカリレー置換に向け、産業用途や車載用途などの高容量製品ラインアップを拡充し、一層の高容量化を進めているところです。この分野では新プロセスMOSFETを積極的に投入することで大電流対応を強化しており、また保護機能を追加するなど設計者にとっての扱いやすさを高めています。また、メカリレーを置き換えようと考える設計者の方に向けて、さまざまなサポートも提供しています(これについては別項で詳しくご説明します)

 一方、東芝のフォトリレー製品は、とりわけ半導体テスター分野で圧倒的なシェアを持っています。そもそも東芝は、他の多くの競合メーカーとは違い、フォトリレーを構成するLEDやフォトダイオード、MOSFETなど全ての素子を自社で開発、製造しており、これらの素子からフォトリレーとしてのパッケージまで、フォトリレーにまつわる技術革新にも積極的に取り組んでいます。例えばLEDは長寿命化、フォトダイオードは低入力電流対応、MOSFETも総合的な低損失化、パッケージには低背化など、それぞれ業界屈指の技術水準だと自負しています。特に当社が独自開発した低背、長沿面パッケージでは裏面実装が可能で、より高密度なリレーの配置ができるので、半導体テスター用途で他にない強みを発揮しています。

東芝デバイス&ストレージのフォトリレー製品ロードマップ 東芝デバイス&ストレージのフォトリレー製品ロードマップ

メカリレーからの置き換え事例「HVAC」

――メカリレーからフォトリレーの置き換え事例としては、どのようなものがありますか?

 フォトリレーの高容量化に伴い可能になった事例としては、ビル空調機器(Heating Ventilation and Air Conditioning:HVAC/ビルオートメーションにおける暖房・寒気・空調)設備があります。具体的な採用部位は、サーモスタット信号伝送と、バルブコントロールのダンパーモーター制御です。かつて主にメカリレーが使われていた部分ですが、近年ではフォトリレーの大電流対応が進んだことを受け、代替が進んでいます。フォトリレーに置き換えることで、動作音が静かになり、リレー寿命も長くなるなどの効果があります。リレーの長寿命化は、装置メンテナンス頻度を減らすことにも寄与するため、設備メーカー、保守業者、そしてユーザーのいずれにもメリットがあるのです。

 同じくフォトリレー化の動きは、さまざまな設備/装置/機器などの制御装置であるPLC(Programmable Logic Controller)にもみられます。PLCはある程度の電流をスイッチする必要があるため、出力段には主にメカリレーが使われますが、そこにも大電流対応が進んだフォトリレーが使われるようになってきたのです。

 その他、電力などのスマートメーターで外部へ通信する際の接点出力、バッテリー搭載電源装置の電池セル群モニタリング回路などにもフォトリレーが採用されています。

HVAC設備におけるメカリレー代替フォトリレー採用事例 HVAC設備におけるメカリレー代替フォトリレー採用事例

フォトリレー使用時の留意点(1)外来サージによる出力故障

――外来サージでフォトリレーが故障したという事例があると聞きました。故障原因と対策方法を教えてください。

 フォトリレーの出力側は、先にも説明したようにMOSFETで構成されているため、いくつかの要因で故障してしまう可能性があります。その一つが外来サージです。例えば、負荷電源に対し、送電線への誘導インパルスノイズやESD(Electro-Static Discharge/静電気放電)サージなどが重畳すると、出力素子の故障につながる恐れがあります。故障モードとしては、ショート(入力がないにも関わらず負荷がオンになってしまう)、オープン(入力があっても負荷がオンにならない)のどちらもあり得ます。

 特に、商用AC電源で利用する装置・機器に組み込む場合や、ESDを完全に保護しきれない用途の場合、サージによる故障が起きやすくなるため対策が必要です。対策としては、回路にバリスタを追加することが効果的です。バリスタ素子は、その制限電圧を超える電圧が加わった際に電流を短絡することで、後段の回路を保護します。ESD対策としては、静電気対策用に積層型チップバリスタを使うのが一般的です。

 フォトリレーの出力段の保護に使う際には、フォトリレーの阻止電圧(VOFF)を下回る(目安はVOFF×0.7程度)制限電圧のバリスタを選んでください。選定例や回路は、下の図表に示した通りです。

フォトリレー出力側の外来サージ対策としてバリスタを選定、搭載する例 フォトリレー出力側の外来サージ対策としてバリスタを選定、搭載する例

フォトリレー使用時の留意点(2)逆起電圧による出力素子故障

――フォトリレー使用時の留意点は、他にありますか?

 フォトリレー出力段の故障につながる要因としては、誘導負荷における逆起電圧もあります。フォトリレーから誘導負荷への出力がオンからオフに変わると、インダクタンスの電流が急にゼロになることになります。この大きな電流変化が、インダクタンス両端に高い逆起電圧を発生させるのです。この逆起電圧がフォトリレーの阻止電圧を超えると、やはりフォトリレーの故障をもたらす恐れがあります。

 大きな逆起電圧が想定される誘導負荷を使用する際には、適切な形で保護素子や保護回路を入れ、フォトリレーを過電圧から保護することをお勧めします。具体的な対策としては、下記のようにいくつかの方法が考えられます。

  • 外付けダイオードでエネルギーを逃がす
  • スナバ回路でエネルギーを吸収する
  • バリスタで過電圧印加を抑える

 なお、これらの保護素子を組み込む際には、負荷あるいはフォトリレーとの距離により保護効果が変わってきます。あまり離れていると保護効果を発揮できない場合があるため、できるだけ負荷またはフォトリレーの近傍に配置してください。

逆起電圧の発生メカニズムと、その電圧の目安 逆起電圧の発生メカニズムと、その電圧の目安

東芝の各種サポートサイトへの誘導&評価ボードについて

――フォトリレーを使ってみたくなりました。評価ツールやサポートWebサイトなどはありますか?

 東芝では、フォトリレーに関するさまざまな情報発信を行っており、当社の製品情報Webサイトからそれらの情報のほとんどにアクセスできます。その中のコンテンツとして、メカリレーからフォトリレーへ移行しようとする技術者の皆様に向けたe-Bookもご用意しました。このe-Bookには、これまでの項目で触れたようなフォトリレー採用時の注意事項なども詳しく記載してありますので、ぜひ参考にしてください。

 さらに、フォトリレーに関する特設Webサイトでは、メカニカルリレー実装基板に直付けで置換することが可能な評価ボードのプレゼントキャンペーンも実施しています。この評価ボードには使用ガイドやデータシートも用意しているため、手間をかけることなく動作確認を行うことができます。ご興味がある方は、ぜひお試しください。

フォトリレーに関する特設Webサイト フォトリレーに関する特設Webサイト

*1)出典:ガートナー「Market Share Semiconductors by End Market Wordwide,2017」[2018年4月4日]

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提供:東芝デバイス&ストレージ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年9月30日

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