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» 2018年11月09日 12時30分 公開

SIIから独り立ち:「頼れない精神」が突き動かす、新生エイブリックの熱意 (2/3)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

成長のコア技術となる「CLEAN-Boost」

EETJ 2022年度の売上高目標は500億円規模です。こちらについては、どのような戦略なのでしょうか。

石合氏 将来成長に向けた種まきとして、「デザインウィンの強化」「商品開発の強化」「ソリューション推進」「M&Aや提携推進」の4つを考えている。特に前者2つは、若手エンジニアを投入し、現在ものすごい勢いで進めている。

 IoT(モノのインターネット)や自動運転といったトレンドの中で、アナログ半導体のニーズはますます高まっている。われわれも、まだリーチできていない顧客が多数あり、新規顧客も増えてくると考えている。

 そうなると足りなくなってくるのが生産能力だ。現在の製造拠点である前工程の高塚事業所(千葉県松戸市)と後工程の秋田事業所(秋田県大仙市)は、既にフル稼働している。そこで、東芝の半導体受託製造子会社であるジャパンセミコンダクター(JSC)と提携し、生産委託を進めている。生産拠点は、JSCの岩手事業所(岩手県北上市)になる。前工程は高塚とJSCとで、生産量を増加していく。後工程の秋田事業所については、拡張の余地があるので、テスト機を導入して拡張を進めているさなかだ。

車載の売上高比率を引き上げる

EETJ デザインウィンはどういった分野で獲得しているのでしょうか。

石合氏 例えば自動車だ。2019年モデルではホールICでデザインウィンを獲得した。ホールICは1台の自動車に数十個搭載される。現在、当社の売上高の比率は民生が80%、車載が20%だが、2022年度には車載の比率を3割以上に引き上げることを目指している。一方で、車載ビジネスの“怖さ”も十分に知っている。GE(General Electric)勤務時代*)に米国のデトロイトにいたからだ。民生と車載、その両方においてバランスを取りながら開発と販売を進める。

*)石合氏は、1993年にGEの日本法人である日本ゼネラルエレクトリックに入社後、2001年に設立されたGEポリマーランドジャパンの社長を務めた経験を持つ。

EETJ 「ソリューション推進」ですが、ここで言うソリューションとは、何を指していますか。

石合氏 当社の「CLEAN-Boost」技術だ*)。CLEAN-Boostは、これまでは捨てられていたわずかな電力を蓄電して有効活用するもので、バッテリーのいらないセンサーを実現する。このCLEAN-Boostを、サンプルという形でもいいから2018年内に販売まで持っていくのが目標だ。

*)関連記事:時計作りで培った技術をIoTに、エイブリック

 ただ、センサーからシステムのクラウドまでカバーするソリューションとなると、われわれだけではできないので、そこはパートナーシップを締結しながら進めていく。例えばCEATECでは、大成建設と共同開発している水漏れ検知システムを展示した。建設以外にも、介護、福祉など、用途は多岐にわたる。

 CLEAN-Boostについては、完全な“起業”だと考えており、2022年以降で50億円規模の売上高になることを目指している。

「CEATEC JAPAN 2018」で出展した「CLEAN-Boost」技術のデモ。大成建設と共同開発している水漏れ検知システム「T-iAlert」。リボンの先に、CLEAN-Boost技術を搭載したモジュールが付けられている(右) (クリックで拡大)

EETJ CLEAN-Boost技術で50億円の売り上げというのは、妥当な数値なのでしょうか。

石合氏 成長をけん引する技術として、それくらいいかなければ、という思いがある。CLEAN-Boostは必ずしも“モノ(ハードウェア)”だけである必要はなく、”コト(サービス)”に発展している可能性も大いにある。決して、不可能な大風呂敷を広げているつもりはない。

EETJ 「M&Aや提携推進」についてお聞かせください。特に、M&Aの可能性についてはいかがですか。

石合氏 現在、ターゲットを探しているさなかだ。ターゲットになり得る条件としては、補完関係を結べること、われわれでマネジメントできる範囲の企業であること、そして製品、利益、人材をフルセットできちんと持っていることの3つがある。

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