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インダストリー4.0の新たな要件を満たすために、シリアルフラッシュテクノロジーはどのように進化すべきかコスト、サイズ、スピード、消費電力、セキュリティ

インダストリー4.0は、不揮発性メモリにも新たな要件を満たすように求めています。そこで、システム設計者がインダストリー4.0に向けた新しい機器設計を実装する際に役立つ、フラッシュメモリ製品の最新技術革新について紹介します。

» 2018年11月13日 10時00分 公開
[PR/EE Times Japan]
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 インダストリー4.0と呼ばれる第4次産業革命は、産業機器やそのプロセスをデジタル化する大規模な動きに基づいています。このインダストリー4.0のトレンドとして、現在、産業用機械および、システムで使用される電子部品の多くはその機能を拡張しつつあります。

 不揮発性メモリも例外ではありません。下記の5点においてインダストリー4.0の新しい要件を満たすよう求められています。

  • コスト
  • サイズ
  • スピード
  • 消費電力
  • セキュリティ

 さまざまな次世代不揮発性メモリテクノロジーが挑戦を続けていますが、既に確立された技術であるフラッシュテクノロジーは、これらの課題に対して、最も迅速かつ効果的な解決策を提供します。この記事では、システム設計者がインダストリー4.0アプリケーション用の新しい機器設計を実装する際に役立つ、フラッシュメモリ製品の最新技術革新について説明します。

インダストリー4.0の要求

 インダストリー4.0は、ビジネスコンサルティングのMckinseyによって次のように定義されています。「製造業デジタル化の次の段階であり、次に挙げる4つの混乱により成り立つ:[1]データ量の驚異的増加、コンピューター処理能力とコネクティビティ(特に新しい低電力ワイドエリアネットワーク(LPWAN))、[2]分析とビジネスインテリジェンス機能の出現、[3]タッチインターフェースやARシステムなど人間と機械間相互作用の新しい形態、[4]高度なロボティクスや3Dプリンティングなど、フィジカルな世界へのデジタル指令送信向上など」

 インダストリー4.0はインターネットへの常時接続が普及したことにより促進され、「ビッグデータ」の生成とその扱い方が注目されています。工場、倉庫、産業機器市場でLPWANが普及すると、サプライチェーンはクラウド上の高性能分析ソフトウェアにより、製品、在庫、資産に関するリアルタイムのデータ監視が可能になります。

 この壮大なデジタル化を支えるのは、無線で読み取ることができるRFIDスマートタグなど、センシングデバイスの発展です。バッテリ電源またはハーベストエナジーからでも動作するこれらのデバイスは、ログデータの格納用に常に超低消費電力メモリコンポーネントを必要とします。

 また、産業機器向けの新しい制御技術によって全く異なる課題も提起されています。今日、公道での自動運転テストが話題となっていますが、最初に自動運転が導入されたのは、工場や倉庫にてのフォークリフトや電動トローリーなどで、人間による操作を排除することで大きな効率と安全性を得られました(図1参照)

図1 図1:自律型Linde R-MATICリーチトラックが最大1.6トンのパレット貨物を、完全自動運転にて高所ラックへ輸送します (画像クレジット:Linde)

 同様に、AR(拡張現実)および、VR(仮想現実)はコンシューマテクノロジーとして最もよく知られていますが、工場においても、手動組み立てや保守、または修理作業の支援に大きな可能性を秘めています。

 これら高度アプリケーションの実装には今日の産業用機器向けものよりはるかに長大なアプリケーションコードが必要です。つまり、産業システム設計者は、材料費と基板面積を大幅に増やすことなく、大容量コードストレージソリューションを見つけなければなりません。

 そして、インダストリー4.0の共通テーマはコネクティビティであり、これはセキュリティ面のリスクを伴います。セキュアな不揮発性メモリチップは、インダストリー4.0の機器のコードおよび、データを格納するデバイスの信頼性を保証し、機密な産業ネットワーク侵入に対する障壁となります。

インダストリー4.0向けフラッシュテクノロジーの進化

 長年にわたり、さまざまな不揮発性メモリがフラッシュと比較して優れた特性を持つと主張してきましたが、フラッシュには次のような利点があります。

  • 多くの人が使い慣れている
  • 数万種類のアプリケーションにて実証済
  • 幅広い製品構成向けに大量供給可能:システム設計者にフレキシブルな製品選択肢を提供
  • ウィンボンドをはじめとする世界有数のメモリメーカーから供給可能:基本的なフラッシュテクノロジーやパッケージング、デバイス性能や機能の向上のため継続的な投資を続ける信頼できるメーカーによる供給

 現在、フラッシュメーカーは、コスト、サイズ、性能、消費電力および、セキュリティ面でインダストリー4.0機器やシステム製造企業のメモリ要件に見合った新しいソリューションの提案を、迅速かつ効果的に進めています。

パッケージング革新

 半導体業界はプロセスシュリンクにより、サイズおよび、コスト削減をしてきました。インダストリー4.0機器で使用されるハイエンドマイクロコントローラ(MCU)向けCPU回路にも同じことが言えます。今日の最先端MCUメーカーの多くは4Xnmノードから3Xnmノードに設計を移行し、性能とコストの向上を目指していますが、4Xnm以下に縮小したNORフラッシュは問題になると言われており、3XnmノードのEmbedded NORフラッシュは事実上割高になります。しかし、ウィンボンドは、MCUメーカーと提携し、3XnmプロセスMCUダイと4Xnm NORフラッシュダイを1つのパッケージに重ねるスタック・ダイ・ソリューションを導入し、ハイエンドの産業デザイン向けフットプリント、パフォーマンスおよび、コードストレージ容量の最適な組み合わせを提供しています。

電力革新

 ワイヤレススマートタグやラベルは、リアルタイムで監視データを提供するために数多く使われています。例えば輸送中の生鮮品や医薬品輸送中の温度や湿度条件を連続的に記録する目的などです。大量のログデータを保存する必要がある一方で、限られたバッテリ電源やハーベストエネルギーからでも動作しなければなりません。

 低電圧バッテリやハーベストエナジーの使用を可能とするために、外付けフラッシュICとして一般的な1.8Vよりさらに低電圧で動作するフラッシュが開発されています。例えば、ウィンボンドはW25QxxNEの1.2V品およびW25QxxNDの1.5V拡張SPIフラッシュNOR製品を8ピンパッケージにて提供しています(図2参照)。これらのデバイスは最大52Mビット/秒のデータ転送速度にて、標準、デュアル、クワッドSPI(シリアルペリフェラルインターフェース)および、QPI(クワッドペリフェラルインターフェース)をサポートします。

図2 図2:2mm×3mm USON8パッケージ、ウィンボンド8Mビット25Q80NEXIG 1.2VフラッシュIC (画像クレジット:ウィンボンド)

パフォーマンス革新

 SPI NORおよび、シリアルNANDフラッシュは、産業分野のコアテクノロジーとして、コードおよびデータストレージ用にコンパクトかつ少ピン数ソリューションを提供します。しかし、これら従来のシリアル・アーキテクチャは、データ読み書きにおける速度の制限があり、同等のパラレルフラッシュ製品よりデータ転送速度が遅くなります。

 そこで、ウィンボンドは新たな高性能シリアルNANDフラッシュテクノロジーを導入しました。SLC(シングルレベルセル)NANDフラッシュは産業アプリケーション向けに高信頼性のデータストレージとして使われています。ただし、高速データ転送を必要とするアプリケーション向けには従来NORフラッシュが使われていました。容量が小さいため、NANDフラッシュよりもビット単価は高くなりますが、スピードが速いためです。

 そこで、ウィンボンドはSPI NORフラッシュと同等レベルである最大83Mビット/秒のデータ転送速度を提供する1GビットのシリアルNANDフラッシュ、W25N01JWを発表しました。さらに印象的なのは、ウィンボンドのアーキテクチャは、データ転送速度を最大166Mビット/秒に倍増する2チップデュアルクワッド・シリアル・インタフェースのオクト構成をサポートしています(図3参照)

 これは、データリッチな画像アプリケーションにも使用できる速度で、大容量、低コストで、容量512Mビット以上のNORフラッシュの代替品になります。車載規格のW25N01JWはインストルメントクラスターシステム向けに開発中ですが、工業用自動運転車両やAR/VRアプリケーションにも適しています。

図3 図3:W25N01JWシリアルNANDフラッシュデバイスのデュアルクワッドアーキテクチャ (画像クレジット:ウィンボンド)

セキュリティ改革

 インダストリー4.0で広範囲なコネクティビティが普及することにより、ネットワークに侵入しユーザーのプライバシーを侵害したり、データを盗み出したりする悪意のある外敵にさらされることになります。設計者はさまざまな手段でセキュリティリスクに対抗しています。重要手段の1つはハードウェア認証で、これは許可されたデバイスのみによるネットワーク上でのデータ共有を保証します。

 ウィンボンドは、ブートコードなどクリティカルなソフトウェアに対してハードウェア認証を提供する認証フラッシュメモリソリューションのW74Mファミリを発表しています。W74Mは、マルチチップモジュールにセキュリティICを搭載したSPIフラッシュメモリを内蔵しています。このデバイスは、標準のHMAC-SHA-256暗号アクセラレータと、個々の秘密鍵でHMAC署名された4つのモノトニックフラッシュカウンタで保護されています。システム設計者はW74Mを使用することにより、ネットワークエッジやクラウド外のコードおよび、データストレージ用デバイスに多層認証を実装できます。

 認証フラッシュメモリに格納されたコードまたはデータへのアクセスは、製造ユニットごとのユニークセキュアキーによって保護されています。改ざんやネットワーク侵入の場合でも、認証フラッシュに格納されているブートコードやデータは、盗難や書き換え、損失からセキュアに守られます。

インダストリー4.0要件に向けたフラッシュテクノロジーの進化

 不揮発性コードおよび、データ格納は産業機器のさまざまな機能要素の1つにしかすぎませんが、インダストリー4.0のデジタル化やデータ解析の高速化が進むに連れ、不揮発性メモリの容量増加、高速化、低消費電力化、低コスト化に対する要求は高まりつつあります。

 このように、インダストリー4.0時代に不揮発性メモリは、産業機器設計者の良きパートナーになることができます。

【著:Alex Wei/ウィンボンドアメリカ、フラッシュメモリマーケティングディレクター】

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提供:ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年12月12日

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