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» 2018年11月14日 09時30分 公開

福田昭のデバイス通信(168) Intelの「始まり」を振り返る(1):Intelの創業年、研究開発主体で売り上げは「ゼロ」 (1/2)

ことし、2018年に創業50周年を迎えたIntel。半導体専業メーカーで半世紀にわたって存続し続けた企業は非常に珍しい。そこで、今回から、Intelに焦点を当てる。Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業当時の活動を1年ずつ、記述していく。

[福田昭,EE Times Japan]

今年7月に創業50年を迎えたIntel

 今年(2018年)の7月18日にIntelは、創業50周年を迎えた。半導体専業メーカーで半世紀にわたって存続し続けた企業は非常に珍しい。しかもIntelは2016年まで約25年間にわたり、半導体メーカーの売上高ランキングでは世界でトップに君臨し続けた。2017年も半導体メーカーの売上高順位では2位に付けており、今年(2018年)も同じく2位を維持することがほぼ確実となっている。半導体産業では最も成功したベンチャー企業だと言えよう。

 半導体ビジネスの成功者としてのIntelはあまりにも有名であり、これまでにIntelの経営手法やマーケティング手法、ビジネスのやり方などをテーマにした何冊もの書籍が米国で発行されてきた。その多くは日本でも翻訳されており、読まれた方が少なくないと思う。

 本稿で描こうとするのは、書籍や論文などが記述してきた成功物語や経営戦略などとは、いささか、趣が異なる。Intel創業期の活動を、Intelの公式資料である決算書から読み解こうとする試みだ。幸いにしてIntelは、創業年である1968年以降の事業活動をすべて「年次報告書(アニュアルレポート)」として発行してきた。このため、半導体ベンチャー企業としてのIntelが創業まもない時期にどのような活動をしてきたかが、定量的に把握できる。

 そこで本シリーズでは、Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業当時の活動を1年ずつ、記述していきたい。

 現在では世界で10万人を超える従業員(2016年の年次報告書によるとIntelの従業員数は10万6000人)を抱えるIntelだが、当然ながら、創業当初は非常にささやかな存在だった。創業の翌年である1969年の従業員数は、106人という記録が残っている。2016年と比べると、約1000分の1である。

 従業員が106人ということは、社員の顔をお互いがほぼすべて、覚えているということだ。社員全員がオフィスの前に集まって記念写真を撮影できるくらいの、こじんまりとした企業である。それが50年前のIntelだ。

Intelの創業地であるマウンテンビューの本社前に従業員が集まって撮影された写真(創業翌年の1969年に撮影)。最前列の左がRobert Noyce(ロバート・ノイス)氏(初代の社長兼CEO[最高経営責任者])、その右がGordon Moore(ゴードン・ムーア)氏。社屋には1969年にデザインされた有名なロゴマーク(ドロップドイー(dropped-e)と呼ばれる、「e」の文字だけが下がっているロゴ)が見える
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