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» 2019年01月18日 09時00分 公開

IHSアナリスト「未来展望」(13) 2019年の半導体業界を読む(1):相当厳しい2019年前半、米中摩擦激化も (1/2)

2018年、過去最高の売上高を記録した半導体市場。一方で、米中間では貿易摩擦が勃発し、その影響は半導体業界にも及んでいる。2019年のエレクトロニクス業界はどうなるのかを、IHSマークイットのアナリスト4人が予測する。まずは、2019年の業界全体について取り上げる。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

2019年の半導体業界全体を展望

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 2018年、過去最高の売上高を記録した半導体市場。一方で、米中間では貿易摩擦が勃発し、その影響は半導体業界にも及んでいる。2019年のエレクトロニクス業界はどうなるのか――。

 IHSマークイットジャパンのアナリストがエレクトロニクス産業の未来を予測している連載「IHSアナリスト『未来展望』」の一環として、4人のアナリストに展望を聞き、今回から数回にわたり紹介する。

 まずは、半導体業界を中心にエレクトロニクス産業全般を担当する、日本調査部ディレクターの南川明氏に2018年の振り返りと、2019年の半導体市場全体の展望を聞いた。

EE Times Japan編集部(以下、EETJ) まずは2018年を振り返っていただけますか。

南川明氏 2018年は「メモリの年」だった。好調だったのはDRAMで、NAND型フラッシュメモリは価格下落が続いている。ただし、DRAM、NANDフラッシュともに需要は堅調で、当社としては、2018年のメモリ市場は前年比で約30%増になるとみている。2017年の成長率は60%増だったので、それに比べればスローダウンしているものの、2018年前半は前年の勢いが続いた。それが、後半で伸びが鈍化したという印象だ。メモリ以外も、2018年後半になって失速し始めている。

世界半導体の出荷動向 出典:IHS Markit(クリックで拡大)

厳しい前半、持ち直す後半

EETJ では、2019年はいかがでしょうか。

日本調査部ディレクターの南川明氏

南川氏 2019年は、特に前半は相当厳しくなるとみている。後半は少し持ち直すだろうが、半導体全体の成長率でみると、2018年は前年比15%ほどだが、2019年は10%を切る可能性もある。

EETJ 失速の主な要因は何でしょうか。

南川氏 一つは米中間の貿易摩擦だ。中国の製造業における自動化への投資に急ブレーキがかかっている。かなりの部分は貿易摩擦の影響だろう。

 もう一つ、市場が足元で低迷し始めている要因として大きいのは、データセンター向けの投資にブレーキがかかっていることだ。これに関しては、米国のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が投資を抑えている。とりわけFacebookは、大規模な個人情報流出などで、特に欧州で厳しい状況に直面している。その対応にリソースを割いていることもあり、投資を控えている状況だ。

 さらに、データセンターの分野は、2019年秋から次のアーキテクチャに移行するといわれている。具体的にはデータセンター間の通信が400Gビット/秒(bps)になっていくということだが、GAFAをはじめ、ハイテク企業はそこに照準を合わせて投資する動きになっている。そのため、今は投資を抑えているのが現状だ。

EETJ 2019年後半から持ち直してくるとのことですが、その背景は何でしょうか。

南川氏 一つはやはりメモリだ。現在、メモリメーカーはSK Hynix以外は軒並み投資にブレーキをかけている状態だが、それにより、メモリの過剰供給における危機的な状況は遠のくだろう。2019年下期には、メモリの需給バランスが改善されていくのではないか。

 さらに、2019年後半から2020年にかけて、先ほど話した新しいアーキテクチャをベースにしたデータセンターや5G(第5世代移動通信)、4Kコンテンツの増加などが控えているので、明るい兆しは出てくると考えている。

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