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» 2019年01月25日 11時30分 公開

福田昭のストレージ通信(132) 半導体メモリの勢力図(3):NANDフラッシュメモリの事業収益と価格の推移を振り返る

今回は、NANDフラッシュメモリの現在の市況について説明する。具体的には、供給過剰だった2016年前半から、品不足による価格上昇を経て、需給バランスの緩和で値下がりが始まった2018年までの動きを見る。

[福田昭,EE Times Japan]

2016年後半から始まった品不足と値上がり

 2018年8月に米国シリコンバレーで開催された、フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」において半導体市場調査会社Objective AnalysisでアナリストをつとめるJim Handy氏が、「Flash Market Update、2018」のタイトルで講演した半導体メモリ市場に関する分析を、シリーズでご紹介している。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 前回は、「シリコン・サイクル」、あるいは「半導体メモリ・サイクル」「メモリ・サイクル」などと呼ばれる、半導体メモリの需給バランスが周期的に変動するサイクルを解説した。今回は、NANDフラッシュメモリの最近の市況に関してHandy氏が言及した部分をご紹介する。

 まずは時間を2016年まで戻そう。NANDフラッシュメモリの需給バランスは、2016年の前半は供給過剰となっていた。このため、価格が下げ止まらず、NANDフラッシュメモリ事業は非常に苦しい状況に置かれていた。ところが2016年の後半に入ると、一転してNANDフラッシュメモリは品不足になる。NANDフラッシュメモリの値下がりが止まり、翌年の2017年に入ると価格は上昇に転じる。その結果、NANDフラッシュメモリ事業の収支は大幅に改善する。2017年の後半にはNANDフラッシュメモリ・ベンダーの多くが、40%を超える利益率を計上するようになる。

NANDフラッシュメモリのベンダー各社における四半期ごとの利益率の推移。2016年第4四半期から2017年第4四半期にかけて、ベンダー各社の利益率が大幅に上昇していることが分かる。出典:Objective Analysis(クリックで拡大)

2018年に入ると需給バランスの緩和で値下がりが始まる

 品不足の状況は、2017年の末に向かって解消へと向かう。2018年に入ると、需給バランスはさらに緩和し、NANDフラッシュメモリの価格(記憶容量当たりの単価)が下がり始める。

 メモリ価格の先行指標の一つは、スポット市場の価格である。スポット市場の価格(記憶容量当たりの単価)は2017年末の段階で早くも下がり始めた。スポット価格に比べると堅調な大手ベンダーの販売価格も、2018年に入ると下がり出す。

 2018年半ばには、トップベンダーであるSamsung Electronicsでも、NANDフラッシュメモリの販売価格が低下し始める。NANDフラッシュの価格は、総崩れの様相を呈し始めた。

NANDフラッシュメモリ価格(記憶容量当たりの単価)の四半期ごとの推移。2017年第3四半期の単価を基準とした相対値で示した。スポット市場における単価の値下がりが最初に始まった(2017年第4四半期)。そしてMicron Technologyの販売単価が、次に下がり出した(2018年第1四半期)。続いてSamsung ElectronicsとSK Hynixの販売単価も、下がり始めている(2018年第2四半期)。出典:Objective Analysis(クリックで拡大)

(次回に続く)

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