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» 2019年02月04日 11時30分 公開

早ければ2月上旬に判決:FTCのQualcomm訴訟、判決次第で5Gに多大な影響も (1/2)

Qualcommの特許ライセンスの運命は、米連邦地方裁判所のLucy Koh判事の手中にある。世界トップ10にランクインする半導体メーカーである同社にとって、特許ライセンスは、最も利益が高い事業だ。Koh判事の判決は、Qualcommが同社のセルラーエコシステムで抱える、数百社に及ぶライセンシーに対して、大きな影響を及ぼす可能性がある。

[Rick Merritt,EE Times]

Qualcommのライセンス慣行を変えたい? FTCの狙い

 Qualcommの特許ライセンスの運命は、米連邦地方裁判所のLucy Koh判事の手中にある。世界トップ10にランクインする半導体メーカーである同社にとって、特許ライセンスは、最も利益が高い事業だ。現在、セルラーネットワークは5G(第5世代移動通信)への移行に向け初期段階にあるが、Koh判事の判決は、Qualcommが同社のセルラーエコシステムで抱える、数百社に及ぶライセンシーに対して、大きな影響を及ぼす可能性がある。

 FTCは、Qualcommが、モデム市場において90%を超えるシェアを確保していながら、何年もの間、CDMA/LTE特許に対して不当に高額なロイヤルティーを課していたことや、優位な取引を行うために半導体チップの出荷を中止するなどの脅迫を利用したことについて、不当性を主張している。これに対してQualcommは、「当社は、成長著しいダイナミックな市場において、何度もリーダー的地位を確立し、自社の特許の公正な価値を追求してきた。半導体チップの出荷を停止させたことなど一度もない」と反論している。

 FTCは2017年に、ある製薬会社に対して、違法に利益を得たとして10億米ドルの支払いを命じるよう、判事を説得した。しかし、FTCは今回、Qualcommのライセンス慣行を変えるべく差止請求を行っている。

 米スタンフォード大学(Stanford University)の法学部教授で、技術分野を専門とするMark Lemley氏は、「最も可能性の高い措置としては、Qualcommに対して、同社の『no license, no chips(ライセンスなくして半導体チップなし)』とする方針を強制的に廃止させる命令を下すことが考えられる」と述べる。

 また、Bloomberg Intelligenceで反トラスト訴訟関連のアナリストを務めるJennifer Rie氏は、「Qualcommに、ライバルの半導体メーカーへのライセンス供与を強制するという可能性もある。同社をはじめとする特許保有企業は現在、システム機器メーカーを中心にライセンスを供与している。最も収益が高く、交渉も容易だからだ。しかし、こうした慣行により、ライバルの半導体メーカーが侵害訴訟にさらされることになる」と述べている。

 さらに、判事がQualcommに対し、取引の一環としてクロスライセンスを要求することを禁じる可能性もある。これについては、AppleがQualcommとの交渉において意義を唱えたことから、争いの火種の一つとなった。

QualcommはLTEモデムチップで圧倒的なシェアを誇ってきたが、そのシェアは急速に低下している 出典:FTC v. Qualcomm(クリックで拡大)

 Qualcommに対するいかなる判決も、現在神経をとがらせている状況にある企業やセルラー業界全体に、影響を及ぼすことになるだろう。

 米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、Qualcommは、2018年の世界半導体売上高ランキングにおいて第7位を獲得していたが、成長率に関しては、トップ50社の中で最後から2番目となる−3%だったという。Qualcommは、NXP Semiconductorsの買収が失敗に終わったことで、10億米ドルのコスト削減を実行した。削減の対象には、成熟した携帯電話機市場を超える速度で成長を遂げている、クラウドシステム向けプロセッサを拡充するための取り組みなどが含まれる。

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