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» 2019年02月06日 09時30分 公開

nano tech 2019:NEC、MI活用で熱電変換材料の出力密度を向上

NECは、「nano tech 2019」で、AI(人工知能)技術を駆使して新材料を探索する「マテリアルズインフォマティクス(MI)」や、極めて高速に組み合わせ最適化を実現する「量子コンピュータ」などの研究成果を紹介した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

シート型スピンゼーベック素子などを試作

 NECは、「nano tech 2019」(2019年1月30日〜2月1日、東京ビッグサイト)で、AI(人工知能)技術を駆使して新材料を探索する「マテリアルズインフォマティクス(MI)」や、極めて高速に組み合わせ最適化を実現する「量子コンピュータ」などの研究成果を紹介した。

 ナノテクノロジー分野における新材料の研究で、AI技術を活用した開発プロセスの自動化、効率化は不可欠となってきた。NECは、候補材料の開発に向けてコンビナトリアル技術に基づき、実験と物性シミュレーションの両面から、多くの材料データを一括取得している。

 また、取得したさまざまなデータの中から、NEC独自の異種混合学習技術を用いて高速かつ適切に解析し、材料物理モデルを構築する。その後、木探索型ベイズ最適化により材料のスクリーニングを行い、新材料の候補を自動的に選定している。これによって、探索のスピードや精度が格段に向上したという。

 研究では、組成の異なる材料を用いて、1枚の基板上に複数の熱電変換素子を作製し、その特性を検証した。素子ごとに設定したパラメーターがどの程度、特性に影響するかも解析し、材料探索にフィードバックしている。

 これらの研究成果をベースに、スピン流を用いた熱電変換材料を開発し、シート型スピンゼーベック素子などを試作した。この結果、MIを利用しない場合に比べて、出力密度は大幅に向上したという。特に、従来のCoPtNに対して、プラチナを使わない鉄(Fe)系材料なども開発した。これにより、変換効率が高まり部材コストを低減できるとみている。

上が試作したシート型スピンゼーベック素子の外観、下はMIを活用して出力密度を向上させた例 出典:NEC

量子アニーリングマシン、高速化と大規模化を可能に

 超電導回路を用いたアニーリング型量子コンピュータ(量子アニーリングマシン)技術についても紹介した。NECは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「量子アニーリングマシン」開発プロジェクトで、超電導パラメトロン素子の開発などを担っている。

左が量子アニーリング素子ウエハー、右は量子アニーリング素子を組み込んだ冷凍機用ホルダーの外観

 量子アニーリングマシンとは、量子重ね合わせを利用して、全組み合わせを同時に表現し最適解を求めるシステムだ。この応用として、電力/通信システムの効率化や交通渋滞の解消などが考えられている。

 具体的には、電力や通信システムにおいて、周波数や送信電力などリソースを最適に制御してスループットを最大化したり、交通状態をリアルタイムに把握して、交通量や輸送経路を最適化することで最短経路を提示したりすることが可能となる。

 ノイズ耐性に優れた超電導パラメトロン回路を用いることで、量子状態を保持する時間は、従来に比べて2型以上も長くなり、高速化できるという。また、量子セルをタイル状に配置する独自の素子構造と3次元実装技術により、回路の大規模化も可能となる。

超電導パラメトロン素子と素子構造のイメージ図 出典:NEC

 なお、開発プロジェクトでは、早稲田大学を中心とする研究チームが、イジングマシン共通ソフトウェア基盤を研究している。実用化に向けてこれらの研究チームと連係を強化していく。

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