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LoRaWAN、中国Tencentとの提携で普及拡大に弾み低価格のゲートウェイも発表(1/2 ページ)

2019年1月31日〜2月1日にオランダのアムステルダムで開催されたLoRaWAN開発者会議「The Things Conference」で、69米ドルという超低コストのLoRaWAN対応屋内ゲートウェイなどが発表された。これにより、LoRaWANの普及が加速する可能性がある。

» 2019年02月14日 13時00分 公開
[Nitin DahadEE Times]

中国Tencentと提携

 Wienke Giezeman氏は、ある使命を担っている。同氏は2015年から、単一の所有者や制御ポイントに限定されない、LoRaWANベースの分散型IoT(モノのインターネット)ネットワークの構築に奔走してきた。同氏の目標は、ユーザーが技術的なことを心配せずに、IoTが生み出す事業価値を享受できる環境を整備することだ。

Wienke Giezeman氏

 Giezeman氏は、2019年1月31日〜2月1日にオランダのアムステルダムで開催された世界最大のLoRaWAN開発者会議「The Things Conference」に登壇し、LoRaWAN機器とゲートウェイに関するブレークスルーを発表した。その内容は、69米ドルという超低コストの屋内ゲートウェイや複数のセンサーを内蔵する汎用ソフトウェアで定義されたIoTノードデバイス、Microchip Technologyと共同開発したセキュリティチップの他、中国のTencentとのパートナーシップなど、LoRaWANネットワークの大規模展開に弾みをつけると期待されるものだった。

 同氏の洗練された講演は、創業間もないころのAppleのSteve Jobs氏をほうふつとさせるものだった。熱気に包まれた1300人ほどの聴講者は、Giezeman氏の発表の1つ1つに驚き、歓声を上げ、拍手を送っていた。講演に聞き入っていた全ての聴講者が、IoTを広く普及させるという同氏の使命を共に果たすことを決意したかのように感じられた。

 Giezeman氏はThe Things Industries(TTI)のCEO(最高経営責任者)で、LoRaWANネットワークのオープンコミュニティー「The Things Network(TTN)」を設立した人物である。同氏は、独自の閉鎖型ネットワークの事業者が市場を独占し、その多くがデバイスごとに契約する収益モデルを採用している状況を打破したいと考えている。The Things Conferenceで出会ったある幹部社員は、ArmがStream Technologiesを買収した後、Stream Technologiesの顧客は何の支援もなく困窮した状態が続いたことを例に挙げて、筆者にこの問題の重要性を指摘した。

 Giezeman氏はEE Timesに対して、「半導体企業と通信事業者はゼロサムゲーム方式でIoT市場に参入している。それによって、市場の成長が制限されている」と語った。同氏はTTIとTTNで、オープンソースコードを使ってネットワークを成長させることに注力してきた。

 同氏は、「こうした理由から、当社は今回発表した全ての製品のオープンバージョンを提供している。Microchip Technologyと共同販売するセキュリティソリューションはキー再生成メカニズムを搭載しており、ユーザーは自由にベンダーを選んでLoRaWANネットワークを別のサービスプロバイダーに移行できる。ゲートウェイを使用すれば、競合企業のサービスにも接続できる」と説明している。

 同氏は、これによって、LoRaWANの普及は加速すると確信している。

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