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» 2019年02月19日 11時45分 公開

今度の相手は手ごわい?:Armに立ちはだかる「RISC-V」という壁 (1/2)

現在、RISC-VやMIPSなどのオープンソースアーキテクチャの勢いが増してきたことにより、マイクロプロセッサ業界に変化の風が吹いている中、Armが置かれている環境に変化が生じてきている。

[Nitin Dahad,EE Times]

ライセンス料の確保が難しくなっている

 現在、RISC-VやMIPSなどのオープンソースアーキテクチャの勢いが増してきたことにより、マイクロプロセッサ業界に変化の風が吹いている中、Armが置かれている環境に変化が生じてきている。

 Armがソフトバンクに買収されて以来、Armの新しいライセンス慣行に関するうわさを耳にするようになった。Armのライバル企業は、EE Timesの取材に対し、「Armに代わるライセンスを検討している既存のライセンシーとの間で、話し合いを進めている」と述べている。

 製品開発メーカーにはもはや、2年間の製品開発サイクルを維持する余裕がない。ライセンス料のための膨大な予算を確保することができず、それがSoC(System on Chip)設計分野に参入する上での大きな障壁となっている。

 Armの広報担当者は、EE Timesのインタビューに応じ、「当社がライセンス料を値上げするのではないかとするうわさは、事実ではない。当社の最新ハイエンドコアは、旧品種よりも価格が高くなるのが通常だ。これは、『Cortex-A76』にも当てはまる」と述べている。

 それでも、過去から現在までArmのライバルである企業からの情報によると、Armとの契約内容は、ますます複雑化していることから、ライセンス料も上昇しているという。Armのビジネスモデルは、アーキテクチャ設計のためのライセンス料を前払いし、半導体チップの出荷数量に応じてロイヤリティー料を支払うというもので、現在のIP(Intellectual Property)ライセンス業界でも多く採用されている。Armは、ライセンス料を公に発表したことがないが、100万〜1000万米ドルの間ではないかと広く報じられている。

オープンアーキテクチャの優位性

 RISC-VやMIPSなどのオープンアーキテクチャが有望視されている一つの要素として挙げられるのは、ISA(命令セットアーキテクチャ)を利用して、独自のアプリケーションに特化した革新的なSoCを開発することができるという点だ。ユーザーは、ライセンス料を前払いせずに、カスタマイズすることができるため、参入コストを抑えることが可能だ。ただ、ツールやテスト、検証などのためのコストが生じるため、完全に無料ではないが、ISAそのもののライセンス料は不要である。長期的に見ると、こうした点が今後、Armに困難をもたらす要因となる可能性がある。

 これは、Arc InternationalとTensilicaが1990年代後半に提供したコアから、次に進むためのステップだといえる。両社はその当時も、市場への売り込みを進める上で、参入コストや設定可能性に関する議論を繰り広げていた(実を言うと、筆者はArc Internationalの初期開発チームの一員だった)

 Arc Internationalが最初に設定したプロセッサコアのライセンス料は、約25万米ドルだった。一方、その当時のArmのライセンス料は、300万〜500万米ドルだ。完全にコンフィギュアラブルな32ビットRISCコアは、顧客企業を大きく引き付け、ArmのISAとは対照的な存在だった。

 必要な機能だけを実装して、チップサイズと消費電力を大幅に削減して性能を高められるため、多くのライセンシーがArc Internationalのプロセッサコアを好んで採用した。その結果、Arc InternationalはIntelや富士通、キヤノン、SanDiskなどを含む大小さまざまな企業とライセンス契約を結ぶことができた。

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