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» 2019年02月20日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(32):マイコンを取り巻く“東西南北”にみるIoT時代のマイコンビジネスの在り方 (1/3)

今回は、マイコンメーカー各社が販売する開発評価ボードを詳しく見ていく。IoT(モノのインターネット)の時代を迎えた今、マイコン、そして開発評価ボードに何が求められているのかを考えたい。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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 マイクロコントローラー(以下、マイコン)を製造する会社の多くはIoT(モノのインターネット)時代に入って、各種センサーや多種の通信機能を備えた開発評価ボードやキットを販売している。ほとんどのメーカーがマイコン製品に応じた専用の開発評価ボードを用意する。一方で「Raspberry Pi」のようにボードそのものを商品とするものもある。こうした汎用的なボード製品は豊富な拡張性を備え、ユーザーはさまざまなシステムを作ることができる。しかし、前者のマイコン専用ボードは、後者の汎用ボードとは目的が異なる。そのままでもセンサーや通信を使うことはできるが、マイコンメーカーがマイコン(ハードウェア)を売るために、「こんな使い方もできますよ」「こんな機能もありますよ」「こんな組み合わせで使うとよいですよ」と宣伝するようなリファレンスとして作られている場合が多い。いわゆる“お試し版”のような位置付けになっている。後者のRaspberry Piなどの汎用コンピュータボードはそれ自体が完成品であり、半導体チップを売る目的はなく、ボード自体が量産化されている。

変わりつつあるマイコンメーカーの開発評価ボード

 マイコン開発評価ボードは、10万枚、100万枚という単位では作れられることはなく、あくまでも開発者向けのボードとなっている。しかし明確に分離されていた開発評価ボードとRaspberry Piのようなコンピューティングボードの境界が以前よりも不明瞭になっている。そのまま製品として使えるほどに、マイコンメーカーの専用ボードの性能が上がっているからだ(以前はマイコンの動作を確認する程度であったが、現在は多くのセンサーから通信機能、多岐にわたるインタフェースが備わっている)

 筆者が代表を務めるテカナリエでは各所で販売される汎用コンピュータボード(欧米から中国まで)や各マイコンメーカーの開発評価ボードもほとんど購入し、内部の構成やチップセットを調べ、その上で主となるマイコンやプロセッサを開封してチップの出来栄えをハードウェア解析やコスト計算を行って判断している。ちなみにマイコンはデータシートやユーザーガイドなどの入手も比較的容易なので、かなり踏み込んだ解析も可能である。

図1:マイコンメーカーが展開する開発評価キット (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 図1は年間50種類以上のボード解析を行っているうちの2つである。1つはルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)のArmコアを用いるマイコン「Synergy」シリーズのセンサー通信キット「AE-CLOUD2」。2つ目はSTMicroelectronics(以下、ST)のArmコア搭載マイコン「STM32L4」のセンサー通信キット「IoT node」である。いずれも市販されているボードである。ルネサスのAE-CLOUD2は、図1のようにケースに収まっており、内部には各種配線やGNSS(全球測位衛星システム)受信用のセラミックアンテナやLTEアンテナも備わっている。若干通信方式は異なるが、ともに多方式の通信機能をボードに搭載する。ルネサスはLTE-M/NB-IoTとWi-Fi、STはWi-Fi/Bluetooth、サブギガヘルツ無線に対応している。

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