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マイコンじゃない「STM32」、Cortex-A搭載のプロセッサembedded worldでSTが展示

STMicroelectronicsはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日)で、同年2月21日に発表したばかりのマルチコアMPU「STM32MP1」のデモを展示した。

» 2019年03月07日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

STM32マイコンの上位互換

STMicroelectronicsのブース

 STMicroelectronicsはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日)で、同年2月21日に発表したばかりのマルチコアMPU「STM32MP1」のデモを展示した。

 STMicroelectronicsの「STM32」といえば、Armの「Cortex-M」コアベースの32ビットマイコンを思い浮かべるが、STM32MP1は、それらSTM32のマイコン群の上位に位置付けられた汎用MPUとなる。産業機器から民生機器、家電などでの用途を想定している。

 Linuxベースで動作するSTM32MP1は、Arm「Cortex-A7」プロセッサと「Cortex-M4」プロセッサを組み合わせ、各種シリアルインタフェースや、16ビットA-Dコンバーター、12ビットD-Aコンバーターというアナログインタフェースも搭載した構成となっている。さらに、3D(3次元) GPUを搭載した品種もあり、高度なグラフィックスを備えたHMI(Human Machine Interface)を実現可能だ。

 ターゲットとなるユーザーは、大きく分けて3種類。まずは、STM32マイコンのユーザーで、より高性能なプロセッサを使用したいというユーザーだ。この場合、STM32マイコンのシステムをそのまま使用できる。もう一つが、MCUとMPUの双方を使用したいというユーザー。MCUで使われるCPUと、MPUで使われるCPUそれぞれを1チップにまとめているので、効率のよいシステムを開発できる。3つ目が、他社のMPUから置き換えたいというユーザーである。

STM32マイコンの資産をMPUにも

 STM32MP1向けのソフトウェアツールについても、STM32マイコン向けのコード生成ツール「STM32CubeMX」をSTM32MP1向けに拡張して使えるようにした。IDE(統合開発環境)やSTM32プログラミングツールについても同様である。「マイコンの資産をあますところなく活用し、STM32MP1を使用する際の開発の負荷を下げる」とSTMicroelectronicsは主張する。

 STM32MP1としては、大きく3つのファミリーを用意している。3D GPUやディスプレイインタフェースを搭載した「STM32MP157」と、CAN FDに対応する「STM32MP153」、最もベーシックな「STM32MP153」である。上位2製品となるSTM32MP157と同153については、Cortex-A7コアを2つ搭載している。いずれのファミリーについても、セキュリティのハードウェアアクセラレーターをオプションとして選択可能だ。この3ファミリーをベースに現在、計24品種が量産中だ。

 さらに、STMicroelectronicsは、「当社はチップ単体のコスト効率だけでなく、基板も合わせたBOMコストも考慮している。ピン配置などを工夫し、6層貫通基板や8層貫通基板が必要なところを、それぞれ4層と6層で済むようにして、より安価な基板を使えるようにしている」と語った。

 embedded worldのブースでは、STMicroelectronicsのパートナー各社がSTM32MP1を使ったデモを展示していた。

「STM32MP157」を使ったHMI(Human Machine Interface)のデモ(左)。ここでは、センサーで収集した温度などのデータを、LoRaWANやBluetooth Low Energy(BLE)を介してCortex-M4に入力される。それらのデータはCortex-M4からCortex-A7に転送され、ディスプレイに数値が表示されている。右は、このデモにおける、STM32MP1の構成(クリックで拡大)
同じくSTM32MP157を使ったデモ。タッチパネルに指で「P」と書くと、写真(Picture)が表示されたり、「V」と書くと動画(Video)が流れたりする。こうしたGUI(Graphical User Interface)はLinuxで動作するからこそ実現できるとSTMicroelectronicsは述べる(クリックで拡大)

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