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» 2019年03月07日 11時30分 公開

禁輸措置は根本的な解決ではない:Huawei製品の締め出し、サプライチェーンに深刻な影響 (3/3)

[Barbara Jorgensen,EE Times]
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Huaweiに大きく依存するサプライヤー

 Huaweiのサプライヤーのうち、同社の成功に大きく依存している企業は少なくとも2社存在する。Financial Timesによると、カメラレンズや指紋読み取り装置を手掛ける中国のO-Film Techは、2018年第3四半期における売上高全体の約4分の1に相当する約4億4400万米ドルを、Huaweiに依存しているという。また、米国カリフォルニア州に拠点を置く集積回路メーカーNeoPhotonicsも、同四半期における売上高全体の47%をHuaweiに頼っている。Huawei製品の不買運動は、破壊的な影響を及ぼす恐れがあるのだ。

 Huawei自体は、米国のサプライヤーとの取引が打ち切られたとしても、単に収益が落ち込むだけだろう。Huaweiの国内調達の選択肢は、社内のチップ事業以外にも拡大している。IHS Markitによると、中国のBOE Technology GroupとChina Starは世界LCD(液晶ディスプレイ)ランキングで順位を上げている。Huaweiは、ジャパンディスプレイ、LG Display、BOEから年間2億枚のディスプレイパネルを購入している。

 中国が欧米諸国のHuaweiの扱いに対する報復を決定した場合、その影響はさらに多くの米国メーカーに波及すると予想される。米国企業は中国の製品とサービスに大きく依存している。Appleの製品は中国で組み立てられている。この他、Cisco SystemsのルーターやDellのコンピュータ、Ford Motorのワイヤハーネスは全て、中国から部品を調達している。このように、東西のサプライチェーンは深く絡み合っている。

 通信機器サプライヤーは、どういった状況であろうと、需要に対応して製品展開を進める。Huaweiは既に、アジアにおける5Gの展開に深く介入しており、サプライヤーもそれを必要としている。Nikkei Asian Reviewは、「アジア諸国にとってHuaweiの技術を全く使わずに開発を進めるのは困難だ」と指摘している。これは日本にも当てはまる。日本では近年、サプライヤーとしても顧客としても中国企業が存在感を増している。

 IHS Markitのエグゼクティブディレクタで通信業界アナリストのStephane Teral氏は、Nikkei Asian Reviewの中で、「通信機器の競合企業は、先進諸国がHuaweiの採用を見合わせていることをチャンスと考えるだろう。だが、これほど大規模なボイコットは前代未聞で、機器サプライチェーンは緊迫している。さらに多くの国々がHuawei製品の使用を禁止した場合、Huaweiに代わってデバイスを適宜提供できるメーカーがないため、製品が枯渇することが懸念される」と指摘している。

スマートフォン世界市場におけるメーカー別の販売台数シェア 出典:IDC(クリックで拡大)

禁輸措置は根本的な解決法ではない

 さらに言えば、禁輸措置は東西間の根本的な問題の解決にはならない。例えば、米サプライマネジメント協会(ISM)のCEO(最高経営責任者)を務めるTom Derry氏は、「2000億米ドル相当の半導体など、より多くの商品を米国から購入するという中国の申し出は、問題の本質とは関係がないことだ」と述べている。この取引によって貿易収支は一時的に調整されるかもしれないが、ネットワークセキュリティやIPの盗用、公正な市場参入に対する米国の懸念を解消するものではない。Derry氏は、「国際収支赤字には、取引による対処ではなく構造的な対処が求められる。禁輸措置では根本的な問題に対処できない」と指摘している。

 サプライヤーは今後ますます大規模市場と大口顧客に集中し、買い手がほんの数社に集約されると予想される。Gartnerによると、2018年世界半導体市場では、上位10社の購入企業が同市場の40.2%を購入したという。この数字は、前年度の39.4%から上昇している。つまり、これら顧客企業のうち1社が“くしゃみ”をすれば、サプライチェーンが風邪をひくことになるわけだ。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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