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Samsung、28nm FD-SOIプロセス適用のeMRAMを出荷へロジックへの統合が容易

Samsung Electronics(以下、Samsung)は、28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター、以下FDS)プロセスをベースにした最初のeMRAM(組み込み型磁気抵抗メモリ)製品の量産を発表した。

» 2019年03月12日 10時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

 Samsung Electronics(以下、Samsung)は、同社にとって初となる、28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター、以下FDS)プロセスをベースにしたeMRAM(組み込み型磁気抵抗メモリ)製品の量産を発表した。

 ただしSamsungは、このeMRAMの提供先となるファウンドリー顧客を明らかにしていない。Samsungによれば、同社のeRAMモジュールは、28nm FDSプロセスのバックエンドに簡単に追加できるため、フロントエンドに大きく依存することなく、バルクシリコンやFinFET、FD-SOIトランジスタなど既存のロジック技術と容易に統合できるという。

 また、同社は2019年後半に、1GビットのeMRAMテストチップをテープアウトできる予定だとしている。

Samsungは、「当社のeMRAMプロセスは、プラグアンドプレイプロセスであるため、マスクを3枚だけ追加すればよい」と説明する (クリックで拡大) 出典:Samsung

 eMRAMは、微細化の課題に直面している組み込みフラッシュを置き換える有力候補の一つで、高い耐久性と高速な読み出し/書き込み時間、優れたリテンションを備える次世代不揮発性メモリである。MRAMは低電圧で動作し、オフモード時は電力を消費しないため、フラッシュメモリよりもはるかに電力効率が高くなる。こうした特長から、IoT(モノのインターネット)アプリケーション向けに、特に有望だとされている。

 Samsungは、2018年12月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「IEDM(International Electron Device Meeting)」で、28nm FDSプラットフォームにおける組み込みSTT(スピン注入磁化反転方式)-MRAMのプロセスについて説明した。STT-MRAMは、スケーラビリティなどの点から、MRAMの中でも特に優れた技術と見なされている。

 2019年2月にサンフランシスコで開催された「ISSCC 2019」で、SamsungのライバルであるIntelは、22nm FinFETプロセスを適用した組み込みSTT-MRAM技術について、詳細を発表した(関連記事:Intel、22nm FinEFT適用MRAMの概要を発表)。Intelは、同eMRAMは量産準備が整っていることを明かしている。

 Samsungのファウンドリーマーケティング担当バイスプレジデントを務めるRyan Lee氏は報道向け発表資料の中で、「既存の実証済みのロジック技術にeMRAMを統合することで、顧客や市場の要求に応える組み込み不揮発メモリのポートフォリオを拡大し続けたい」と述べた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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