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» 2019年03月14日 11時30分 公開

大山聡の業界スコープ(15):なぜルネサスは工場を停止しなければならないのか ―― 半導体各社のビジネスモデルを整理する (2/3)

[大山聡(グロスバーグ),EE Times Japan]

ビジネスモデルに応じた経営か?

 各社のプロットの位置は、その企業の主力製品によってばらつく様子が見て取れるが、「この企業はこの位置で問題ないのか?」という疑問も出てくる。

主な半導体メーカーのR&Dおよび、SG&A比較 (クリックで拡大) 各社の決算資料よりGrossberg作成

 例えばルネサス。同社の主力製品はMCUで、InfineonTechnologiesやNXP Semiconductorsにもっと近い位置にいるべきなのに、グラフの中ではかなり左に位置している。Intersil買収に伴うのれん代の償却がSG&Aに計上されているためか、この負担が大きいようだ。同社の決算資料を見る限り、同社のSG&Aは概ね14%台で推移しており、こちらの数字に違和感はない。ただし同社はIntersilだけでなく、IDT買収に伴うのれん代償却も今後の負担としてのしかかってくる。この2つの買収はアナログIC事業の強化が目的とされているが、アプリケーションから見た親和性は低く、シナジーを発揮するのは至難の業だろう。厳しい言い方をすれば、のれん代償却の負担だけが目立つ結果になっている。

 ロームやサンケン電気はアナログICを主力製品としており、グラフでは右下に位置しているので違和感はない。ただしサンケン電気は粗利率が30%を下回っており、この水準では営業利益率を10%以上に引き上げることが難しい。ロームの粗利率は40%に近いので、営業利益率は10%を上回っている。ロームの粗利率は開発効率を改善すればまだ伸びしろがありそうだ。

 左上の象限にはXilinxとQualcommが位置している。FPGAメーカーのXilinxの位置には違和感がないが、ASSPを主力製品とするQualcommはもう少しSG&Aを効率化して右上の象限にいるべきだろう。スマホ向けSoCの実績が伸び悩んでいる同社は、クラウドインフラ向け、あるいは車載向けのビジネスで巻き返しが図れるかどうかがポイントである。

 右上の象限にはIntel、Broadcom、NVIDIA、Mediatekなど、ASSPを主力製品とする企業が位置している。いずれも特定のアプリケーションで強い実績を持ち、注目度も高い。Intelを除けばいずれもファブレスメーカーで、顧客をリードしながら、もっと言えば顧客を上から目線で見るようなスタンスを取っているあたり、日系企業には中々例を見ることができない。

 右下の象限にはSamsung Electronicsをはじめとするメモリメーカー、TSMCをはじめとするファウンドリーが位置している。東芝メモリもこの象限に位置することは間違いないが、上述したようにここは巨大な自社工場をベースとした体力勝負が求められる象限である。他社より安く大量に生産することが生き残るための必要条件で、中国における半導体メーカーの多くはこの象限で勝負しようとしている。

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