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» 2019年04月08日 11時30分 公開

光伝送技術を知る(5):データセンターを支える光伝送技術 〜エッジデータセンター編 (2/3)

[高井厚志,EE Times Japan]

スマートファクトリーのエッジデータセンター

 第四次産業革命(インダストリー4.0)では、

  • マーケティング、開発、調達、製造、出荷など、バリューチェーンとサプライチェーンが、シームレスにつながったITシステム
  • 製造装置のセンサーが取得したデータに応じて、工程や作業にリアルタイムにフィードバックする、予知保全などを含む生産管理
  • ロボットやAIを応用した生産工程の自動化による、多品種少量生産、低コスト化、高品質化

などを実現することを目指している。

 スマートファクトリーでは、工程のセンサー情報や、作業映像など工場内のデジタル化されたデータを取り込んで処理するエッジコンピューティングが推進されている。製造業向けのエッジコンピューティングプラットフォームには、ファナックが提唱した「FIEDL system」や、三菱電機が提唱した「Edgecross」などがある。

図2 ファナックが提唱した「FIEDL system」や、三菱電機が提唱した「Edgecross」の概要(クリックで拡大)

 大規模な工場では、これが深化すると考えられている。クラウドから出荷計画、部材調達計画など非リアルタイム情報を入手し、刻々と変わる工場の装置や作業員、部材在庫などのリアルタイム情報から、人員配置を含む生産計画を作成する。生産に必要な図面やソフトウェアをクラウドから入手して、生産指示を出す。低コストな多品種少量生産の鍵となる「ダイナミックセル生産」方式を実現すべく、IoTによって製造装置や作業員の状況をリアルタイムに把握し、部材配置などを適切に行って、生産指示を出す。さらに、検査工程以外でも、作業の画像を含むデータを収集し、活用することで、品質管理や故障予兆を行って、高い稼働率と品質を達成する――。ただし、クラウドを利用すると、その通信やストレージのコストが問題となってくる。

 将来のスマートファクトリーでは、リアルタイムのビッグデータを活用するために、高速、大容量、低レイテンシのデータ伝送の他、大容量のストレージと、AIのようなコンピューティング能力が要求される。

 これらを解決するために、強力なエッジコンピューティング、すなわちエッジデータセンターが必要になるのだ。

 この投資は大きくなるため、エッジデータセンターのインフラを備えた施設に、複数の企業が製造を行うコロケーションが起こることも考えられる。さらに、アプリケーションソフトのオープン化や、ハードとソフトのディスアグリゲーションが起これば、エッジデータセンターはますます重要となってくるだろう。

 工場は狭い地域だが、電磁ノイズが発生するなど、環境は過酷だ。耐工場環境の、高速、大容量通信の実現が課題である。

 光ケーブルは高速、大容量で細線、軽量であることに加え、電磁ノイズに強いという特長を持つ。工場の膨大なデータの送受信には、最も有効な通信メディアといえるだろう。ただ、埃や汚れに弱いので、接続部の工夫が必要になる。これについては、光が伝送するコア部の直径が1mm程度あるプラスチック光ファイバー(POF)が期待されている。POFは軽量で取り扱いも容易なので車載用としても期待されており、標準化も進められている。

 ハイパースケールデータセンターと同様に、エッジデータセンターでもビッグデータ処理のコンピューティングパワーが要求される。スケールを追うのではない、「ビッグデータ・リアルタイム処理」に注目した新しいアーキテクチャが期待され、光伝送技術が貢献できると考えている。

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