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正体不明の異物はあるのか? 最新サーバの搭載チップ事情この10年で起こったこと、次の10年で起こること(34)(1/3 ページ)

今回は、一部で異物(=正体不明のハードウェア)が搭載されているとの情報が流れたサーバ製品をいくつか分解し、チップ内部まで解析した結果を紹介していく。

» 2019年04月17日 11時30分 公開
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 2018年、別記事で既に報告したHuaweiだけでなく、Supermicroのサーバにも異物(=正体不明の意味)チップが故意に入れられているという情報が流れた。その後、情報通りに異物チップ、異物ハードウェアが見つかったというニュースは耳にしてない。

 筆者が代表を務める研究解析調査会社のテカナリエでは複数のサーバやハイパフォーマンスPC(HPC)向けボードを入手し、ボード上の全チップの確認を行った。

最新サーバのチップを解析

 サーバは大きく3つの部位に分かれる。図1がその基本の3つである。実際のコンピューティングを行うボード、ボードに電源を供給する電源ユニット、入出力端子や空冷装置を含んだラックである(ラック側にもエレクトロニクス素子が若干配置される)

図1:SupermicroのServerユニット (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 コンピュータボードにはさらにいくつかのデバイスを付加せねばならない。プロセッサやDRAMメモリなど。上位機種向けのプロセッサは1チップで数十万円するものもあり、DRAMもDDR4メモリユニットを複数枚装着することになるので、上位モデルでサーバラック1台を組み立てると100万円近くの費用がかかってしまう場合もある。

 配線はいたって簡単だ。電源とボード、ボードと空冷ファン、外部端子を接続しているだけだ。テカナリエでは年間300機種以上の分解を行っているが、分解も組み立てもサーバはトップクラスで作業が楽だ。特殊な工具もほとんど使う必要がない。

 ノートPCなどは“狭い筐体”の中にコンピューティングボードからSSD、端子、ディスプレイ、キーボードまで詰め込まなければならない上、放熱対策まで行う必要があるため、非常に実装密度が高く(スマホはさらに実装密度が高い)、分解は若干難しい。だが、サーバはネジの数こそ多いものの、多少手順を間違えても問題なくバラすことも組み立てることもできるようになっている。1つ1つのラックやボードが重いので、体力は奪われてしまうけれども……。

 図1のボードは現在最上位のプロセッサ(Intelの「Xeon」やAMDの「Ryzen Threadripper」)を2基搭載するものだ。最大で64コアのCPU、128スレッドを搭載するボードである。ボードにはプロセッサとメモリを除いてトータルで44チップが搭載されている。44チップは全て素性(メーカーや機能)が明らかなものばかりであり、異物は確認できなかった!! 

 もちろん“異物が見つかった”という情報が流れた手前、綿密にかつ、くまなく全チップの判断を行った結果、異物は確認できなかったのである。

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