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パワーエレクトロニクス最前線 特集

車載インバーターのSiC採用、2021年以降に活発化PCIM Europe 2019でロームが講演(3/3 ページ)

» 2019年05月10日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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車載用パワーモジュールにおける3つの課題

Danfoss Silicon PowerのNorbert Apfel氏

 同じくE-Mobility Forumのセッションに登壇した、Danfoss Silicon Power(以下、Danfoss)のHead of Global Automotive SalesであるNorbert Apfel氏は、車載用途向けのパワーモジュールにおける主要課題として、ボンディング/接合、冷却、パッケージング技術の3つを挙げ、これらを解決することで、パワーモジュールの電力密度と寿命を向上できると主張した。

 Apfel氏は、3つの課題それぞれに向けたDanfossの技術を紹介した。ボンディングの信頼性を向上する「Danfoss Bond Buffer(DBB)」は、従来のアルミワイヤではなく銅ワイヤを使い、はんだ接合に代えて焼結接合を使う技術である。「DBBを使うことで接合部がより堅ろうになり、パワーサイクル寿命が大幅に向上する。加えて、放熱性の向上と導電損失の低下という効果も得られる」(Apfel氏)

左=「DBB」の概要 / 中央=DBBによってパワーサイクル寿命が向上する / 右=放熱性と導電損失も改善するという(クリックで拡大)

 Apfel氏は、冷却技術としてDanfossの「ShowerPower」を紹介した。モジュールを直接水冷する技術で、他のモジュールメーカーなどにもライセンスとして提供している。モジュールを均一に水冷できることが特長で、最新の第3世代となる「ShowerPower 3D」では、1cm2当たり最大で325W以上の電力を拡散できるという。

左=Danfossは10年以上前から「ShowerPower」を提供している/右=ShowerPowerによる熱拡散(クリックで拡大)

 パッケージについても「自動車分野向けに、堅ろう性を備えたモールドパッケージを12年前から提供している」(Apfel氏)とする。

 Danfossは、ボンディング技術、水冷技術、パッケージング技術を組み合わせたモジュールプラットフォーム「DCM1000」を、自動車のトラクション制御向けにも展開している。DCM1000は、SiとSiCの両方に対応可能だ。

 Danfossは、同社のブースでDCM1000や、DCM1000の評価キットなどを展示していた。

SiCパワーデバイスを搭載した「DCM1000」(左)と、DCM1000の評価キット(クリックで拡大)

 Apfel氏は、自動車におけるSiCパワーデバイスの採用について、「非常に関心が高く、誰もが情報を求めている。一方でコストがまだまだ高いため、SiCパワーデバイスの採用を検討しているメーカーはいずれも、損益分岐点を探っているようだ」と語った。

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