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» 2019年05月13日 10時30分 公開

PCIM Europe 2019:「EVや産業用途でGaNを見直すべき」 GaN Systems CEO (1/2)

パワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2019」で、会期3日目の基調講演に登壇したGaN SystemsのCEOを務めるJim Witham氏。同氏は、EV(電気自動車)やハイパワーの産業機器で、GaNパワーデバイスを見直すべきだと強調する。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]
GaN SystemsのCEOを務めるJim Witham氏

 パワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2019」(2019年5月7〜9日、ドイツ・ニュルンベルク)では、3日目の基調講演に、GaNパワーデバイスを手掛けるGaN SystemsのCEOを務めるJim Witham氏が登壇し、ACアダプターなどの民生機器の他に、モーターやデータセンターでもGaNパワーデバイスを活用すべきだと主張した。

 Witham氏は「世界中のシステムで約3000万台に上るモーターが実装されていて、産業用に使われているエネルギーのうち3分の2がモーター駆動に消費されている。一方で、それらのエネルギーのうち、約30%が無駄に使用されているというデータもある」と述べ、パワーエレクトロニクスが省エネルギーにおいて果たす役割の大きさを強調した。

 同氏は、GaN-FETを採用したモーターおよびモータードライバーは、IGBTベースのシステムに比べて、小型化とコストの点で大きな利点があると述べる。「GaN FETでは周波数を上げられるので、フィルターなどの部品を小さくできる。その結果、正弦波フィルターをモータードライバーに搭載することが可能になる。そうなれば、EMIノイズの懸念がなくなるので、アンシールドの安価で長いケーブルを使えるようになる。これによってモーター内の損失が減り、モーター寿命の向上につながる」(Witham氏)

 Witham氏は、GaNベースのモータードライバーのコストについて、「パワーデバイス単体で考えれば、GaNの方が高い。だが、フィルターやケーブルなどの部品コストを抑えることができるので、システム全体で考えれば低コスト化が可能だ。われわれの顧客のデータによれば、従来のIGBTベースのモータードライバーに比べてコストを8〜15%低減できている」と述べた。

左=IGBTベースとGaNベースのモータードライバーにおける構成と、GaNベースの利点。特にヒートシンクやケーブルでのコストダウンが大きいという/右=GaNベースのモータードライバーの利点(クリックで拡大)

 データセンターにおいても、GaNパワーデバイスの利点が発揮されるとWitham氏は説明する。同氏は、「データセンター向けサーバ用の電源を手掛ける、当社のある顧客は、GaNを採用したことで、ラック用のAC-DC電源の電力密度を、シリコン使用時の67W/in3から、100W/in3へと大幅に向上できた。効率も96%から98%に上がった」と説明する。同様に、サーバ向けのDC-DCコンバーターでも電力損失を2分の1に低減し、電力密度を2倍に向上できたと述べる。

 「サーバ用電源にGaNを採用すれば、シリコンベースでは1ラック当たり電源10台、サーバ30台の構成を、電源6台、サーバ34台にすることができる。つまり、エネルギー効率が上がって消費電力は減るが、サーバ台数は増えるので、より多くのデータを扱うことができるようになる」(Witham氏)

左=AC-DC電源とDC-DCコンバーターにGaNを採用した時の利点/右=電源にGaNを使うことで、1ラック当たりの電源台数を減らし、サーバ台数を増やすことができるとWitham氏は説明した(クリックで拡大)

 Witham氏は、「モーターやデータセンターにGaNを採用することで、これだけの利点が得られる。これはつまり、GaNがスマートファクトリーやインダストリー4.0を加速する鍵になるということだ。今こそ、GaNの採用を積極的に検討する時期が来たのだと確信している」と強調した。

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