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» 2019年05月14日 11時30分 公開

福田昭のデバイス通信(188)Intelの「始まり」を振り返る(21):Intelの創業10年目(1977年):5V単一電源で動くUV-EPROMを発表 (1/2)

Intelにとって創業10年目である1977年の状況を紹介している。前回は1977年の主な出来事をご説明した。今回は、1977年における半導体製品の状況を解説する。

[福田昭,EE Times Japan]

2種類〜3種類の電源電圧が珍しくなかった半導体メモリ

 Intelの公式文書である「年次報告書(アニュアルレポート)」をベースに、Intelの創業期の活動を創業年(1968年)から1年ずつ記述する連載の第21回。前々回から、創業10年目である1977年の状況を紹介している。前々回は1977年の業績概要を、前回は1977年の主な出来事をご説明した。今回は、1977年における半導体製品の状況を解説する。

 Intelの半導体製品は大きく2つに分かれる。メモリ製品とマイクロコンピュータ製品である。メモリ製品は、RAMとROMに分かれる。RAMにはDRAMとSRAMがある。ROMにはマスクROM、プログラマブルROM(PROM)、紫外線消去型EPROM(UV-EPROM)がある。当時のIntelは、これらの異なるメモリ全てを扱っていた。

 メモリ開発の方向性には、記憶容量の増大(大容量化)、アクセス時間の短縮(高速化)、消費電流の削減(低消費電力化)の3つがある。当時のIntelは、大容量品、高速品、低消費電力品の全てを開発しており、なおかつ、開発を継続していた。

 これら3つの方向性以外に、当時のメモリ開発で重要な動きと言えるのが、電源の簡素化である。具体的には、電源電圧を単一の電圧にすることだ。言い換えると、当時のメモリ製品の多くは、複数の電源電圧を必要としていた。2種類あるいは3種類の電源電圧を外部から供給しなければならない。それもプラスの電圧とマイナスの電圧という、異なる極性の電源を必要とするメモリ製品が珍しくなかった。

 複数で極性の異なる電源を用意することの負担は、ユーザー企業にとっては無視できない。そこで望まれたのが、半導体メモリを1種類の電源電圧で動かせるようにすることだ。当時における開発の方向性としては、プラス5Vの電源電圧だけで済むようにすること(5V単一電源化)が、重要な課題だった。

 当時のメモリ製品がどのような電源電圧を必要としていたかを、Intelが発行した1978年版の製品カタログ(Component Data Catalog 1978)から見ていこう。

代表的な電源電圧とメモリ製品の事例。Intelが発行した1978年版の製品カタログ(Component Data Catalog 1978)から抜粋したもの

 始めから5V単一電源化を実現していたのは、MOS SRAMとバイポーラSRAM、バイポーラPROMである。そのほかのMOSメモリは当初、複数の電源を必要としていた。一時的に標準仕様に近い位置付けとなっていたのは、プラス12Vとプラス5V、マイナス5Vの3種類の電源電圧を供給するMOSメモリ製品だろう。マスクROM、DRAM、UV-EPROMが一時期、この電源を採用していた。

 そして最新世代の大容量マスクROMと大容量UV-EPROMは、5V単一電源で動作するようになった。まだ製品化されていないものの、大容量DRAMも5V単一電源で動作する品種が開発に入っていたとみられる。なお、Intelが発行した1979年版の製品カタログ(Component Data Catalog 1979(Component Data Catalog 1978))には、5V単一電源で動作する16KビットDRAMが掲載されている。

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