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» 2019年05月16日 11時30分 公開

科技省のLiang-Gee Chen氏に聞く:台湾で加速する新興企業エコシステムの構築 (3/4)

[Junko Yoshida,EE Times]

新興企業エコシステムの構築

EE Times: 2018年にインタビューを行った時、Chen氏は、台湾で新興企業向けにインフラの設立をサポートすべく、さまざまな種類の計画について語っていた。筆者はその時、「まだ計画段階にすぎないのだろう。また1年後に進捗状況を確認しよう」と考えていた。

Chen氏: われわれは2018年に、「Taiwan Tech Arena(TTA)*)」を開設した。アジア最大の技術新興企業エコシステムを構築することを目標に掲げている。

*)TTAは、台湾の新興企業だけでなく、海外のさまざまなアクセラレーターたちも含め、100社の新興企業を抱えることができるという。Chen氏は2018年当時、「TTAの使命は、台湾の新興企業を、世界の舞台まで押し上げていくことだ」と述べている。

Taiwan Tech Arena 出典:TTA(クリックで拡大)

 われわれは現在、新勢力を育てることにより、新しい市場需要を創出しながら、ハイテク分野の開発をさらに加速しようとしているところだ。

EE Times: つい最近、National Taiwan University(NTU)のIndustry Liaison Office(ILO)を訪問したのだが、企業と大学の間で協業関係を深めていく取り組みが、非常にうまくいっているようだ。

Chen氏: 私は、NTUで教壇に立っていた当時から、大学のさまざまな新興企業関連のプログラムの開発に携わってきた*)。その中には、Y Combinatorのようなアクセラレーターである、「NTU Garage」や、「NTU Angel Fund」なども含まれる。

*)Chen氏は、2009〜2012年にElectrical Engineering and Computer Sciencesの副学部長を務め、2013〜2016年にはNTUで学術研究担当EVPを務めた経歴を持つ。

EE Times: ILOの人々から、「Chen氏はNTUで、『イノベーション王』というニックネームを付けられていた」と聞いている。

Chen氏: (笑い)私は常に、新興企業のための環境を作り出すことに情熱を注いできただけだ。

「台湾で注目すべきスタートアップ10社」を紹介するChen氏 出典:TTA(クリックで拡大)

EE Times: 台湾は現在、Chen氏の詳細かつ包括的な計画と系統的アプローチに基づき、3〜4年間をかけて、新興企業エコシステムの構築を加速すべく、熱心な取り組みを進めているところだ。シリコンバレーの場合、このような取り組みを実現するのに30〜40年かかった上、あらゆるものを組織的に実現しなければならなかった。例えば、シリコンバレーには、数々のスピンオフやスピンアウト、新興企業などの土台となった、Fairchild SemiconductorやNational Semiconductorといったメーカーがあった。台湾も、必ずしもまったく同じ活動をする必要はないが、TSMCやUMCはこれまでに、新興企業をスピンアウトしたことはあるだろうか。

Chen氏: 台湾では、UMCの一部門がMediaTekになったという一例しかない。TSMCとUMCは、台湾の優れた成功事例として挙げられるが、両社ともこれまで、独自の事業を構築することで手いっぱいの状態だった。

EE Times: 台湾のPC/スマートフォンメーカーも同じような状況にあるのか。

Chen氏: PC/スマートフォンメーカーも同様に、独自ビジネスの展開で精いっぱいだった。そして、インターネット時代に突入した。現在のように、GoogleやFacebookなど、突如として現れた企業が世界を支配し、勝者が全てを手に入れるというような状況下にある。こうした中で台湾は、新しいビジネスや新興企業を生み出すことができず、インターネット時代のチャンスを完全に逃してしまった。

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