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パワーエレクトロニクス最前線 特集

主力のSiC製品を順調に拡充、インフィニオンPCIM Europe 2019

Infineon Technologies(以下、Infineon)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2019」で、パワーモジュールの新パッケージや、TO247-2パッケージの1200V SiC-SBDを発表し、主力のパワーデバイスを順調に拡充していることをアピールした。

» 2019年05月17日 10時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
「PCIM Europe 2019」のInfineonのブース

 Infineon Technologies(以下、Infineon)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2019」(2019年5月7〜9日)で、パワーモジュールの新パッケージ「Easy 3Bパッケージ」や、TO247-2パッケージの1200V SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)を発表し、主力のパワーデバイスを順調に拡充していることをアピールした。

 Infineonは2019年5月7日(ドイツ時間)に、2019年度第2四半期(2019年1〜3月期)の業績を発表したばかりだ。InfineonのIndustrial Power Control(IPC)部門でプレジデントを務めるPeter Wawer氏は、PCIM Europeの会期中に行った記者説明会で、「パワーデバイスは需要が高く、IPCは2013年度から2018年度にかけて、15.2%の年平均成長率で成長した」と語った。

パッケージのバリエーションを増やす

Peter Wawer氏

 Easy 3Bパッケージは、耐圧950Vの最新のIGBTを搭載し、サイズが110×62mmと既存の「Easy 2Bパッケージ」の2.5倍で、高さはわずか12mmとなっている。電力定格は最大150kWで、1500Vのソーラーパネルをサポートできるという。同製品は2019年10〜12月に市場に投入される予定だ。

 「CoolSiC」というブランドで展開するSiCパワーデバイスについてWawer氏は、「Infineonはベアダイからディスクリート、モジュールまで提供できることが強み」だと述べる。

 InfineonのIPC部門Chips & DiscretesでProduct Marketing SiCを務めるFanny Björk氏は、「100kW、200kWといった大電力のアプリケーション向けにはモジュールを使う方が設計が容易だが、ディスクリートデバイスの方が柔軟性は高い。特に、1k〜80kWくらいの小電力の場合は、ディスクリートデバイスを使うのが一般的だ。当社にとって、ディスクリートデバイスからモジュールまでをそろえることは、とても重要になる」と強調した。

 ディスクリートの「CoolSiC MOSFET」では、耐圧1200VのTO-247パッケージ品(3ピンおよび4ピン)を、30mΩ〜350mΩのRDS(ON)範囲でそろえている。これらは量産対応が可能だ。SMD(Surface Mount Device)品としては、耐圧1200VのD2PAKのサンプル出荷を2019年第4四半期から開始するという。

左=耐圧1200Vの「CoolSiC MOSFET」のラインアップ。TO-247パッケージ品は量産対応可能で、SMDは2019年第4四半期にサンプル出荷を開始する/右=CoolSiC MOSFETの性能比較 出典:Infineon Technologies(クリックで拡大)

 Björk氏は、寄生インダクタンスが低いことから、SMDパッケージの方がSiCパワーデバイスの特性をより引き出せるので理想的としながらも、「多くの顧客は、標準的なTO-247パッケージを使った設計プロジェクトを進めている。TO-247パッケージだと本来の性能の50〜60%くらいしか引き出せないかもしれないが、それでも次世代のシリコンパワーデバイスよりも性能がいい。SiCがパワーデバイスの材料として本質的に優れていることを示しているだろう」と語った。

 Infineonは、7ピンのTO-263パッケージのCoolSiC MOSFETなど、SiCパワーデバイス向けの新しいパッケージ開発も精力的に進めていると、Björk氏は述べた。

CoolSiC SBDのパッケージのバリエーション(左)と、CoolSiC MOSFETのパッケージバリエーション(クリックで拡大)

8インチSiCウエハーへの移行は、まだ先

 Infineonは2018年2月、SiCウエハーの長期供給についてCreeと合意に達したと発表した。現在、InfineonのSiC製造ラインは全て150mm(6インチ) SiCウエハーに切り替えが完了している。Wawer氏は、「現在、SiCウエハーは世界的に不足しているが、幸運なことに当社はCreeとの契約もあり、SiCパワーデバイスを十分に供給できる体制にある」と述べる。なお、Infineonは200mm(8インチ) SiCウエハーへの移行も進めているが、Wawer氏は切り替え完了の時期については明確に言及しなかった。

台頭する中国勢、「ベンダーが増えるのはよいこと」

 SiCパワーデバイスの分野では現在、中国メーカーの成長が加速している(関連記事:パワエレで力を付ける中国、SiCで目立つ地元企業の台頭)。そうした動向についてBjörk氏は、「SiCパワーデバイスベンダーが力をつけ、増加するのは業界にとってよいことだ。ユーザーは選択肢が増え、製品を入手しやすくなる。健全な競争が活発になれば、ベンダー側も、より自信を持ってSiCパワーデバイスの研究開発に取り組むことができるだろう」と語った。

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