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“垂直給電”で高効率を実現、AIプロセッサ向けにVicorが開発(1/2 ページ)

Vicorのコーポレートバイスプレジデント兼プロダクトマーケティング&テクニカルリソースを務めるRobert Gendron氏は、2019年5月17日にVicorの日本支社であるVicor KKで開催した記者説明会で、同社の成長戦略と最新技術について語った。

» 2019年05月20日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
VicorのRobert Gendron氏

 Vicorは、米国マサチューセッツ州アンドーバーに本拠地を構える電源コンポーネントの専業メーカーだ。高効率、高電力密度を実現する独自のアーキテクチャとパッケージング技術を生かし、データセンターや機械学習などのコンピュータ、自動車、産業機器、鉄道、通信といった分野に製品を提供している。Vicorのコーポレートバイスプレジデント兼プロダクトマーケティング&テクニカルリソースを務めるRobert Gendron氏は、2019年5月17日にVicorの日本支社であるVicor KKで開催した記者説明会で、同社の成長戦略と最新技術について語った。

 Gendron氏は、今後のVicorの成長を支える戦略として以下と挙げた。

  • 「Vertical Power Delivery(VPD)」という独自技術を活用し、高効率のAI(人工知能)アクセラレーター用製品の提供
  • 自動運転EV(電気自動車)向けの電源コンポーネント「PowerStrip」の提供
  • データセンターや自動車などの市場に向けた、48V/12V双方向変換ソリューションの提供
  • 高電力密度の新しいDC-DCコンバーターやAC-DC電源の提供
  • 製造工場の拡張

“垂直方向”に給電

 Gendron氏は、「AIプロセッサの採用が進むデータセンターでは、プロセッサに給電する電流(ピーク電流)が増加の一途をたどっており、1000Aを超える状態が当たり前になっている。今後は1200A、1400Aが要求されるケースも増えてくるだろう」と述べる。そこでVicorは、プロセッサに給電する電源コンポーネントを、プロセッサと同じサブ基板上に実装できる技術「Power-on-Package」を開発し、それを適用した製品を提供してきた。

 このPower-on-Packageから、さらに高効率化を実現する技術が、VPDだ。プロセッサを実装した基板の裏面に電源コンポーネントを実装する技術である。つまり、従来のように水平方向ではなく、垂直方向にプロセッサに給電することになる。「これによって、配電損失はPower-on-Packageに比べて7分の1になる。弊社の製品では最も高い効率を実現できる」(Gendron氏)

左=「Power-on-Package」の概要。「MCM(Multiple Current Module)」がVicorの電源コンポーネント。1000Aにおける配電損失は70W/右=「VPD」の概要。プロセッサを実装した基板の裏面に、バイパスコンデンサーを挟んで、電源コンポーネントを実装する。配電損失が10Wにまで低減されている 出典:Vicor(クリックで拡大)
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