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CMOSプロセスで製造できるマイクロLED、Letiが開発多様なディスプレイサイズに対応

米国カリフォルニア州サンノゼで開催された「Display Week 2019」(2019年5月14〜16日)では、研究機関のLetiが、GaN(窒素ガリウム)マイクロLEDディスプレイを、CMOSプロセスで製造する新しい技術について説明した。

» 2019年05月21日 15時35分 公開
[Nitin DahadEE Times]

 米国カリフォルニア州サンノゼで開催された「Display Week 2019」(2019年5月14〜16日)では、研究機関のLetiが、GaN(窒素ガリウム)マイクロLEDディスプレイを、CMOSプロセスで製造する新しい技術について説明した。同技術により、トランスファー(LED素子をバックプレーンに実装する)の工程を削減でき、スマートウォッチから大型TVまで、さまざまな大きさのディスプレイを使うアプリケーションに適用できるようになるという。

 この方法では、CMOSの駆動回路上に実装したRGBを一体化したマイクロLEDを基本ユニットとし、これをディスプレイバックプレーンに実装する。つまり、完全に半導体プロセスでマイクロLEDディスプレイを製造できるというわけだ。

Letiが開発した、マイクロLEDの実装方法 出典:Leti(クリックで拡大)

 マイクロLEDディスプレイは、既存の液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)に比べ、高い画質とエネルギー効率を期待できる。その一方で、Letiによれば、現時点では商業化に向けて大きな障壁が存在するという。最大の課題の一つは、ディスプレイ駆動の性能を向上することだ。輝度の高い映像を実現するには、より多くの電力が必要であり、さらなる高解像度化に応えるためには高速なトランジスタが必要である。だが、既存のアクティブマトリクス駆動方式を採用したLCDでは、求められる電流やトランジスタのスピードを実現することは難しい。

 Letiの新たなアプローチでは、シンプルなトランスファープロセスを用いて、高性能のGaNマイクロLEDを製造できるとLetiは主張する。RGBのマイクロLEDと駆動回路から成るユニットは、バックプレーンの1ピクセル上に実装される。バックプレーンはTFT(薄膜トランジスタ)バックプレーンではなく、ごくシンプルな安価なものだ。各ピクセルにおいて、トランスファーは1回で済む。

 Letiによると、CMOSを用いることには、デバイス性能、高いレベルの統合、マイクロLEDが直接基板上に実装されているので配線が短いといった、いくつかのメリットがあると主張している。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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