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» 2019年06月03日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(58) 働き方改革(17):障害者雇用対策に見る、政府の覚悟と“数字の使い方” (2/10)

[江端智一,EE Times Japan]

これまでにない“違和感”を覚える「障害者就労」

 こんにちは、江端智一です。

 今回は、政府が主導する「働き方改革」の項目の一つである、「障害者就労」に関して、お話していきたいと思います。

 私、当初、今回のコラムの内容を、前回の「シニア"活用"」で用いたアプローチ「シニアになった時、社会で"使いもの"になるにはどうしたら良いのか」と同じ方向で、障害者の就労問題に対してアプローチしようとしました。

 ところが、この障害者の働き方を、単純なコスト論(×幸福論)からアプローチすると、どうしても「障害者を社会から分離して、社会活動から除外してしまう方がコストは安い」という結論に至ってしまうのです。

 私が不思議に思ったことは、政府は「働き方改革実行計画」で、「障害者の就労」については「記載しない(スルーする)」という方法も取り得たと思うのです。

 しかし、政府はあえて、この問題に斬り込んでいる。―― ということは、そこに、単なるポピュリズム(大衆迎合政治)ではない、国家としての未来戦略と、将来刈り取れる「美味しさ」があるはずであるし、そうでなければならない ―― と考えました。

 なぜ、私が、そのように考えることができたのか ―― 第1に、障害者の人口がハンパな数ではなかったことと、そして、第2に、政府の「"数字"を使ったマジック(道具概念としての数字)」が見て取れたからです。

 この「働き方改革」は、(成功するかどうかはさておき)政府主導で行われる、新しい我が国の働き方を模索する国家的プロジェクトです。私は、この連載開始からずっと政府が発表した資料を読み倒す日々を送っています。

 そして、今回の連載コラムの執筆で困っていることは、政府が、命令を出している相手を"By Name"で具体的にしていない、ということです。 ―― まあ、政府としては、コンセプトや方針を出すのが仕事であり、それを「誰が実施するのか」は、あまり興味はないのかもしれませんが、「働き方改革」を実施する国民の一人としては、そこはハッキリさせて貰わないと困るのです。

 下記は、私が、これまでの連載のテーマごとに、"By Name"をまとめてみたものです。

 働き方改革の「障害者就労」については、障害者自身の働き方については全く登場しません。全て、障害者を雇用する企業や組織についての話ばかりで、私はこれまでにない違和感を覚えています。

 この連載は、「社会の問題を数字ではっきりさせよう」が趣旨なのに、本テーマに関しては、政府に完全に先手を打たれている感じで、正直、 ―― 江端。お前の出る幕はないよ ―― と言われているような気すらしました。

 逆に考えれば、この「障害者の就労」というトピックは、このような「数字による武装」が必要な観点であることが分かってきました。

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