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» 2019年06月03日 13時30分 公開

HMDA需給は2023年までタイト:PA(ポリアミド)66不足、DSMが対応策を提案

DSMは、エンジニアリングプラスチックの1つであり、供給不足が続く「PA(ポリアミド)66」の代替製品などに関する記者説明会を開催した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

Akulon IG、PA66と同等の機械性能

 DSMは2019年5月29日、エンジニアリングプラスチックの1つであり、供給不足が続く「PA(ポリアミド)66」の代替製品などに関する記者説明会を東京都内で開催した。

 ナイロンと一般的に呼ばれるPA66は、耐衝撃性や耐薬品性、耐摩耗性などに優れ、自動車部品や電子部品など幅広い用途に用いられている。PA66はHMDA(ヘキサメチレンジアミン)を原料として製造されるが、HMDAの生産に必要となるアジポニトリル(ADN)は、自然災害などの影響により、ここ数年は供給能力が低下している。このため、HMDAの出荷量も減り、1年前から世界的に需給がタイトになっているという。

姜信良氏

 DSM Japan Engineering Plasticsの取締役で日本地域コマーシャル本部事業本部長を務める姜信良氏は、「PA66の需要に対し、供給能力は全世界で年間最大30万トンも不足している。この状況は2023年まで続く見通し」と話す。その分、材料コストも上昇するとみられている。

 そこでDSMでは、PA66とほぼ同等の機械性能を持つ新製品「Akulon IG」を開発し、提案活動を行っている。特に同社のポリアミド製品は、「1,4-ジアミノブタン」を基盤としている。このため、「C6基盤を用いる一般的なPA66に比べて、AND、HMDAの需給変動があっても、その影響を受けにくい」と指摘する。

 Akulon IGは、PA6とPA46をブレンドすることにより、PA66とほぼ同じ物性を実現したという。グレードはガラス含有量が25%の「IG-HG5」と、同35%の「IG-HG7」を用意しているが、非強化グレード品など顧客特有の要求にも対応できるという。

 同社は、ガラス含有量が35%のAkulon IGとPA66について、引っ張り強度や耐衝撃性、成形収縮率、長期耐熱性、長期高温耐油性などを測定し比較した。この結果、Akulon IGはPA66とほぼ同等の機械特性を持つことが分かった。

ガラス含有量が35%のAkulon IGとPA66の特性比較。左は23℃での応用ひずみ曲線、中央は180℃での応力ひずみ曲線、右は耐衝撃性能 (クリックで拡大) 出典:DSM
ガラス含有量が35%のAkulon IGとPA66の特性比較。左は成型収縮率、中央は長期耐熱性、右は長期高温耐油性 (クリックで拡大) 出典:DSM

 また、植物由来のポリアミド製品である「EcoPaxx」についても、PA66との特性比較を行った。EcoPaxxは、Tg(ガラス転移温度)とTm(融点)が極めて高い製品である。例えば、「PA410」はTgが70℃、Tmが248℃でPA66とほぼ同等である。この他、引っ張り弾性率や引っ張り強度、吸水性、耐加水分解性なども、PA66と同等か優れていることが分かった。

 こうした特性評価の結果を受けて、「PA6」と「Akulon IG」および、「EcoPaxx」を、供給不足となっている「PA66」の代替製品として積極的に提案する考えだ。

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