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» 2019年06月11日 10時30分 公開

高根の花“DSM”が手軽に:小型スピーカーの性能を最大限引き出すDSM搭載アンプ (1/2)

Maxim Integratedは2019年6月11日、モバイル機器などに搭載されるマイクロスピーカー(小型スピーカー)の性能を引き出すダイナミックスピーカー管理(以下、DSM)機能を搭載するD級オーディオアンプ「MAX98390」を発表した。従来、膨大な開発費が必要で年間100万台以上の大量生産を行うスマートフォンなどの完成品に事実上、使用が限られていたDSM機能を、産業機器など量産規模の小さな完成品でも搭載できるようになる。

[竹本達哉,EE Times Japan]

 高根の花だったダイナミックスピーカー管理(DSM)が手軽に利用できるように――。

 Maxim Integrated(以下、Maxim)は2019年6月11日、モバイル機器などに搭載されるマイクロスピーカー(小型スピーカー)の性能を引き出すダイナミックスピーカー管理(以下、DSM)機能を搭載するD級オーディオアンプ「MAX98390」を発表した。従来、膨大な開発費が必要で年間100万台以上の大量生産を行うスマートフォンなどの完成品に事実上、使用が限られていたDSM機能を、産業機器など量産規模の小さな完成品でも搭載できるようになる。

定格を超えて、安全にスピーカーを駆動するDSM

 DSM機能とは、定格を超えてマイクロスピーカーを駆動し、大音量化したり、低音域を拡張したりし、マイクロスピーカーの性能を最大限に引き出す技術だ。定格を超えるとスピーカーの故障につながるが、DSM機能では、スピーカーの状態を常時監視し、スピーカーの故障につながる場合には、音量を小さくするなど動的に駆動を制御する。そのため、定格外での動作が可能になる。

一般的なマイクロスピーカーの構造。音量を大きくし過ぎるとボイスコイルが過熱し、低音域を広げすぎるとダイアフラム(振動板)が破損し故障する (クリックで拡大) 出典:Maxim Integrated

 例えば、マイクロスピーカーの音量を大きくした場合、ボイスコイルが過熱し故障につながる。低音域を広げると、振動板(ダイアフラム)の共振が大きくなり、振動板が破損する恐れがある。DSM機能は、定格ではなく、マイクロスピーカーの動作状態を電圧/電流で検知、判断し、動作させる。通常、スピーカーの定格は、こうした状態監視を行わずに使用することを前提に定められており、絶対に故障しないという“大きな余裕”を持った定格になっている。DSM機能は、“大きな余裕”の分、すなわち、スピーカーの実力と定格の差分だけ、スピーカーの性能を高めることができるわけだ。

これまで利用可能な完成品が限られたDSM

 こうしたDSM機能は、音量、音質が要求されながら、スペース的な制約が多く小型のスピーカーを使用せざるを得ないスマートフォンで広く利用されてきた。昨今は、音声認識技術の高まりなどにより、さまざまな機器でマイクロスピーカーを使った音声ユーザーインタフェースの搭載や音質の強化が進みつつあるが「DSM機能は、スマートフォンやゲーム機のコントローラーなど一部での利用にとどまり、広く普及しているとは言い難い」(Maxim モバイルオーディオビジネスユニットでビジネスマネージャーを務めるGreg Mow氏)という。

 これまで、DSM機能の利用が限られてきた要因は、導入コストが高いことだ。マイクロスピーカーの特性を評価し、そのマイクロスピーカーごとに管理アルゴリズムを開発する必要があるため、開発コスト、導入コストが高くなってしまった。従来、MaximもDSM技術をスマートフォンメーカーなどに対し提供してきたが、「搭載するマイクロスピーカーをMaximが借りて、特性評価を行い、顧客の好みの音質やホストプロセッサのアーキテクチャに応じて、アルゴリズムをプログラムして、提供していた。そのため、こうしたカスタムのDSM技術を提供できるのは、年間100万から200万台以上を生産する一部の完成品に限られた」(Mow氏)と述べる。

あらゆるマイクロスピーカーの性能が引き出せるように

 そうした中で、今回、発表したオーディオアンプMAX98390は、DSM機能を搭載。同時に、これまでカスタムでの対応が必要だった、マイクロスピーカーの特性評価やアルゴリズムのプログラミングを不要にするGUIソフトウェアツール「DSM Sound Studio」を提供。これにより、「誰でも短期間でDSM機能を開発し、DSM機能を利用できるようになる」(Mow氏)とする。

GUIソフトウェアツール「DSM Sound Studio」のスクリーンショット。左から「メニュー画面」「EVKITのハードウェア設定画面」「リファレンススピーカーのデモ画面」 (クリックで拡大) 出典:Maxim Integrated
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