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» 2019年06月18日 10時00分 公開

新電元工業がいち早く製品化!:GaNパワー半導体の弱点を克服する大容量/高速安定動作可能なパワーモジュール登場

より高い電力変換効率が期待できるGaN(窒化ガリウム)などの新材料を用いた次世代パワー半導体は、既に実用化段階にある。しかし、電力変換/制御システムに搭載するには、設計の難易度が高いなど課題を抱える。そうした課題を解決し、実用化を前進させる大容量/高速安定動作可能なGaNパワーモジュールが登場した。

[PR/EE Times Japan]
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実用化段階にある次世代パワー半導体だが“弱点”も……

 省エネルギー化、ひいては、地球環境保護を実現する上で、電力変換/制御に欠かせないパワー半導体の進化が求められている。特に、電力変換/制御時の電力損失を減らすことが要求されている。そうした中で、電力損失を大幅に低減する新たなパワー半導体として、注目を集めているのが、GaN(ガリウムナイトライド/窒化ガリウム)やSiC(シリコンカーバイド/炭化ケイ素)を用いた、いわゆる“次世代パワー半導体”だ。

 GaN、SiCは、これまでパワー半導体の材料として主流だったシリコン(Si)に比べ、電気的、物理的特性に優れ、大幅に電力損失を低減することができる。また、より小さなサイズで大きな電力を扱うことができ、低損失で小型の電力変換/制御システムを実現できるという特長も備えている。

 こうしたGaN/SiCを使用した次世代パワー半導体の開発は近年、盛んに行われ、多くのパワー半導体メーカーが製品化。電車のモーター制御機器やサーバ電源、太陽光発電システムのパワーコンディショナーなどの用途で、採用も始まりつつある。

 このように“次世代”というよりも、実用化段階にある“新たなパワー半導体”と呼ぶにふさわしくなりつつあるGaN/SiCパワー半導体だが、本格的な普及に向けては、まだクリアしなければならない大きな課題も存在する。例えば、GaNパワー半導体の周辺回路設計がとても難しい、ということがある。

 GaNパワー半導体は、低損失であり、かつ、SiCなどと比べても高速スイッチング動作が可能で、システムレベルでの小型化が期待されている。ただ、一方で、ゲート駆動電圧のしきい値が低いという特性に起因し、Siなどに比べノイズに弱いという欠点が存在する。この欠点を補うには、基板配線パターンを短くしてインダクタンスを低減したり、コモンモード過渡耐圧(CMIT)の高い駆動用ICを選んだりといった、ノイズ影響を小さくするための高度な回路設計の工夫が欠かせない。言い換えれば、従来のSiパワー半導体をGaNパワー半導体に置き換えるだけでは使えず、GaNパワー半導体に応じた設計ノウハウを持たないといけない。これが、GaNパワー半導体の本格普及を阻む課題の一つだ。

設計の難しさを解消する“モジュール”

 この設計の難しさを解決する一つの答えがこのほど、登場した。複数のGaNパワー半導体素子と周辺回路を一体化した1kW級の「GaNパワーモジュール」だ。モジュールを使用すれば、GaNパワーデバイスの素子レイアウトや配線インダクタンスを考慮せずに、より容易に安定動作可能な電力変換/制御システムが構築できる。

新電元工業が2019年6月からサンプル提供を開始した1kW級GaNパワー半導体搭載ハーフブリッジ回路モジュール。定格電圧650V、オン抵抗値50mΩ。高放熱絶縁型モジュールを採用している

 これまで、普及初期段階にあるGaNパワー半導体は、基板実装時の素子レイアウトや配線のインダクタンスによる誤作動を防止するため、表面実装パッケージなどのGaNパワー半導体素子単体のディスクリート部品として提供されてきた。これに対し、シリコンパワー半導体を用いたパワーモジュールを展開してきた新電元工業は、いち早く大容量で高速安定動作を可能にするGaNパワーモジュールの開発に着手。このほど、GaNパワー半導体による650V耐圧の1kW級ハーフブリッジ回路モジュールのサンプル出荷を開始した。表面実装などのディスクリートGaNトランジスタを使用した場合に比べ、設計の手間を大幅に省くだけでなく、実装面積も約4割削減可能だ。同モジュールは、放熱効率が高いDIP型(デュアルインライン)パッケージを採用。さらに絶縁パッケージになっており、放熱フィンとの絶縁も不要であり、低コストでフレキシブルな熱対策が行える。

 2019年6月からサンプル提供を開始したばかりのこのハーフブリッジ回路構成のGaNパワーモジュールは、最新のノーマリオフタイプの低オン抵抗GaNトランジスタ素子を採用し、高速スイッチング動作に対応可能。新電元工業では、本モジュールと開発中の電流共振電源用ICを使用し、ソフトスイッチングで1MHz動作を実現し、さらに高速スイッチング効果によりわずか90×130mmというボードサイズで1kW電流共振電源ボードを作成している。同ボードでは、入出力400V、出力電流2.5A条件で変換効率97%を達成。さらに、入出力400V、出力電流0.1Aという軽負荷時でも約90%という高い変換効率を誇る。

1kW電流共振電源ボードでの動作例。1MHzという高速スイッチング動作により、トランスを小型化でき、ボードサイズはわずか90×130mm。変換効率は最大97%を達成している (クリックで拡大)

 一方ハードスイッチング方式においては、GaNトランジスタは高速スイッチングさせた場合、ターンオン時のサージ電流の増大を招いてしまう。だが、同GaNパワーモジュールは、素子レイアウトなどの最適化などにより、電流の立ち上がり/立ち下がり時間を約10ナノ秒にとどめ、ターンオン時のサージ電流が小さいという特徴も備えている。

推奨駆動条件で測定したスイッチング動作波形例 (クリックで拡大)

SiCパワーモジュールのサンプル提供も開始

 パワーダイオード製品で世界トップクラスのシェアを誇る新電元工業では、近年、パワーモジュール製品のラインアップを強化してきた。フレキシブルに顧客要望に応えるカスタム設計サポートなども提供し、パワーモジュール分野でも白物家電、産業機器をはじめ、車載機器などで多くの採用実績を積んでいる。

 新電元工業では「引き続き、パワーモジュール製品のラインアップ強化を進める」とし、その一環として、GaN、SiCといった次世代パワー半導体を用いたパワーモジュールの開発を積極的に展開している。GaNパワーモジュールについては、今回紹介したハーフブリッジ回路構成モジュール以外にもフルブリッジ回路構成品やゲートドライバICも搭載したIPM(インテリジェント・パワー・モジュール)などを「市場ニーズに応じて開発、提供していきたい」(同社)とする。

 またSiCパワーモジュールについても、2019年6月に第1弾製品群として、ハーフブリッジ構成とトーテムポール型ブリッジレスPFC構成の2タイプのサンプル提供をスタートしている。

2019年度の量産出荷を予定するSiCパワーモジュールの概要 (クリックで拡大)

 同シリーズは、SiC-MOSFETとともに、低順方向電圧(低VF)を誇るダイオード素子を採用する。新電元工業では、「SiCパワーモジュールの多くは、SiCダイオードを使用したモジュールが多い。ただ、回路構成によってはシリコンのダイオードでも、十分にSiC-MOSFET性能を引き出すことが可能。当社の得意とする低VFダイオードや、モジュール設計ノウハウを駆使し、より低コストで使いやすい次世代パワーモジュールを提供していく」としている。

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提供:新電元工業株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2019年7月17日

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