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» 2019年06月21日 09時30分 公開

半導体/部品メーカーの新たな課題:5Gではデバイスのテストも変わる、「OTA」が重要に (1/2)

5G(第5世代移動通信)実現に向けて高周波半導体デバイスを開発、供給するメーカーが直面している課題の一つがテストだ。今後のテストでは「OTA(Over-The-Air)」が鍵になるだろう。

[Alejandro Buritica(National Instruments),EE Times Japan]

5G向け部品メーカーがテストで抱えることになる課題とは

 5G(第5世代移動通信)実現に向けて高周波半導体デバイスを開発、供給するメーカーが直面している課題の一つがテストだ。5Gでは、新しい周波数帯や、より複雑で広帯域な変調信号の検証といったテストが必要になるからである。

 とりわけ難問となるのは、24G〜44GHzのミリ波帯で動作するデバイスやモジュールのテストだ。ミリ波帯での通信に不可欠なアレイアンテナ技術やビームフォーミング技術を実現するために、アップコンバーターやダウンコンバーター、マルチチャネルのビームフォーマーおよび、8台、16台、場合によってはさらに多数の二重偏波アンテナを搭載したフロントエンドモジュールなどのコンポーネントのテストソリューションが求められている。

 さらに、ミリ波帯では従来の周波数帯よりもアンテナ素子を小さくできることから、アレイアンテナをワンパッケージに実装する「アンテナインパッケージ(AiP)」と呼ばれるデバイスが積極的に開発されている。この場合、テストはOTA(Over-the-air)、すなわちテスト対象デバイス(DUT:Test Under Test)とテストシステム間において高周波信号送受を無線で行うテストアプローチが不可欠となる。

 このように、5Gの実現に向けて、半導体デバイスメーカーは従来よりも複雑なテストを行う必要性に迫られているのだ。既存のテスト技術を見直した上で、より高速な信号処理、マルチバンドでのオペレーション、より高いチャンネルカウント、OTA測定の信頼性、高速なテスト実行のための最適化が求められている。

従来とは別のOTAテストアプローチが必要だ

 フェーズドアレイレーダーをはじめとした一部の航空宇宙/防衛関連のアプリケーションでは、数十年も前からOTAテストが実施されてきた。ただし、これらのケースでは、巨大な電波暗室を使い、多くの時間を割いてテストが行われる場合が多い。

 だが、スマートフォンとなると話は別だ。スマートフォンが2018年に15億台以上出荷されたことを考慮すると、5G端末に搭載される半導体デバイスの場合には、たとえOTAテストであっても、1デバイスのテストにかけられる時間は数分、もしくは数秒程度とみるのが妥当だろう。そのため、従来のように大型の電波暗室で時間をかけて行うようなアプローチではなく、同時測定を駆使した、テストスループットを最大化するようなアプローチが必要となる。

Samsung Electronicsの5G対応スマートフォン「Galaxy S10 5G」 画像:Samsung Electronics

OTAテストではどのようなアプローチが考えられるのか

 一般的に、OTAテストは、ICパッケージレベル、モジュールレベルのそれぞれで要件が異なり、それに応じてソリューションも異なる。ウエハープロセスでダイ上にアンテナを形成するような手法は、通常100GHz以下では行われないため、ウエハーレベルではOTAテストは必要ではなく、ウエハーにプローブを当て、導電状態でテストを行う。

 5Gで使用するミリ波帯の信号に対しても、こうしたウエハープローブが使えるように、テスト技術は進歩している。5G向けミリ波帯デバイスのウエハープローブにおいては、テストシステムへの設備投資やテストスループットは、現在の半導体業界の期待値に沿っているとされる。

 AiPデバイスの場合、パッケージ内に収められたアンテナに直接プロービングすることはできないので、OTAテストを行う必要がある。考え得る一つのアプローチとして、アレイアンテナの素子を一つずつ順番にテストする方法が挙げられる。しかし、Known-good-die(KGD、良品であることが保証されたダイ)を使用し、かつパッケージングプロセスが最適化されている場合、パッケージ化されたAiPデバイスのアンテナ特性を入念にテストする必要は必ずしもなく、テストリソースを過度に浪費してしまう可能性もある。

 そこで、アンテナ素子を個々にテストするのではなく、ビームフォーミングに必要な処理を適用した信号をアレイアンテナに入力し、アレイアンテナ全体での特性をテストする方法が考えられる。

 ただし、同手法には、ダイとパッケージ基板の間の導通に問題がないか、また、パッケージ内の各アンテナの特性をどのように確認するか、といった課題が存在する。最初の生産立ち上げ時には、全パラメータに関してOTAテストを実行しつつ、そこから得られた知見を活用して、生産量が増大した際にはパラメータを限定するようなアプローチを採るという方法も考えられるだろう。

 AiPやさまざまなデバイスを集積したモジュールレベルでは、個々のアンテナ素子にテストを実施することがさらに困難になる。今後、既存のデバイスのテストシークエンスにOTA測定を含める必要性が高まると考えられる。

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