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» 2019年06月26日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(36):“Windows On Arm”の「Yoga C630」を解剖 ―― ついに実現された複数OS対応プラットフォーム (2/3)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

「両面実装」と「片面実装」という違い

 Qualcommの同じチップセットを活用したスマートフォンは各メーカーから2018年のフラグシップモデルとして多数種販売されている。中国OPPO、VIVO、Xiaomi、韓国Samsungなどだ。

 図2左は、QualcommのSnapdragon 845を用いるSamsung製Galaxy S9(2018年モデル)の基板の様子である。スマートフォンはノートブック型PCに比べて小さいので、基板も小さく、さらに多くの機能チップを小さな基板に搭載しなければならないため、裏表にチップがびっしりと実装される「両面実装構造」になっている。中国製の多くのスマートフォンもほぼ同様の構造である。一方で図2右のノートブック型の基板はバー形状で、裏面にはほとんどチップが搭載されない、ほぼ「片面実装」となっている。スマートフォンに比べて幅の大きいノートブック型では、大きな面積の基板が形成できるからだ。

図2:「Yoga C630」と2018年モデルのスマートフォン(Samsung Electronics製「Galaxy S9」)の基板 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 片面実装にすることによる利点は多い。処理チップを横方向に展開できるので、比較的配線密度も低く、結果として干渉ノイズ対策、電源強化を行いやすい。また配線層数(基板内部)も減らすことができるのでコストも抑えることができるわけだ。基板の左右にUSBなどの端子を設置することもでき、フレキシブル配線の節約にもつながっている。スマートフォンは基板から端子を持つサブ基板への接続など(電池などをまたぐので)多くのフレキブル配線が使われるがノートブック型PCでは少ない。(ただし上述のように通信用アンテナ配線は多い)

Snapdragon 845とSnapdragon 850のダイを観察すると……

 図3はメインのプロセッサの様子である。左は2018年モデルのGalaxy S9に採用されるQualcommのSnapdragon 845だ。パッケージ(POP構造:Package On Package。上のチップがDRAMで下がプロセッサ)の端子面の様子である。筆者が代表を務めるテカナリエでは、薬品を使ってシリコンを取り出し、内部の観察やチップの配線層を除去しての解析も行っている。右は2019年発売のYoga C630に搭載されるSnapdragon 850である。

図3:スマホ向けプロセッサ「Snapdragon 845」と「Yoga C630」搭載プロセッサ「Snapdragon 850」のダイ比較 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 取り出したチップを高倍率の顕微鏡で観察するとチップ型名を確認することができる。図3の上2つの写真である。なんと、驚くことに同じ型名が搭載されている!!

 結論から言えば、シリコンとして“Snapdragon 845=Snapdragon 850”であった。搭載可能なOSこそ、前者はAndroid 、後者はWindows 10と異なるが、シリコンハードウェアは同じもの(チップサイズ、外観、チップ上型名など)であった。実際には一部異なる場所もあると思われるが、顕微鏡で観察した限りでは、違いがあったとしてもいわゆる「ちょい変」でベースは同じものと判断してよいだろう。

 すなわち、Android OS 向けとWindows OS向けは同じプラットフォーム(表1のチップセット+プロセッサ)を用いていることが明確になったわけだ。

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