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「世界最小」SAWデバイスを製品化、村田製作所5Gに向け耐電力性も改善

村田製作所は2019年7月16日、従来製品に比べサイズを24〜37%小型化したSAW(Surface Acoustic Wave/表面弾性波)デバイスを製品化し、量産を開始したと発表した。同社では、SAWデバイスとして「世界最小サイズを実現すると同時に、従来品と同等以上の特性を持つ」としている。

» 2019年07月17日 10時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 村田製作所は2019年7月16日、従来製品に比べサイズを24〜37%小型化したSAW(Surface Acoustic Wave/表面弾性波)デバイスを製品化し、量産を開始したと発表した。同社では、SAWデバイスとして「世界最小サイズを実現すると同時に、従来品と同等以上の特性を持つ」としている。

量産を開始したSAWデバイスの新製品 (クリックで拡大) 出典:村田製作所

 量産を開始したSAWデバイスは、デュプレクサの「SAYAVシリーズ」「SAYRVシリーズ」「SAYAPシリーズ」と、フィルターの「SAFFWシリーズ」。いずれも、スマートフォンでの利用を見込む。

 スマートフォンは、さまざまな周波数の通信に対応するマルチバンド対応が進んでいて、特定周波数を送受信する役割を持つSAWデバイスの搭載数は増加傾向にある。村田製作所によると、「特定地域に対応するミドルクラスの機種でも、1台あたり14〜15個、グローバル対応のプレミアムモデルでは30〜40個(のSAWデバイスが)採用されることがある」という。このように、スマートフォンでは、多くのSAWデバイスを搭載するため、SAWデバイスに対する小型化ニーズが特に高くなっている。

 これに対し村田製作所は、独自の設計、小型化技術を用い、従来製品からチップ設計とパッケージング方法を大きく見直し、「世界最小サイズ」(同社)という新製品を開発した。

 700MHz帯から2.6GHz帯までの周波数帯に対応するSAWデュプレクサ3シリーズは、1.6×1.2mmで、従来品比約24%の小型化を実現。SAWフィルタでは、従来品に比べ約37%小型化した、0.9×0.7mmサイズを達成した。

新製品と既存品のサイズ比較。左の写真がSAWデュプレクサ、右の写真がSAWフィルター。いずれの写真も写真右側のデバイスが新製品 (クリックで拡大) 出典:村田製作所

5Gに向けて「Sub-6」対応製品も

 新製品は、伝送特性、アイソレーション特性といった主要な特性についても、「従来品と同等以上の特性を有している」(同社)。さらに「第5世代移動通信(5G)システムをはじめとした今後のスマートフォンにおけるハイパワー化に備え、耐電力性の改善も先駆けて実現した」(同社)としている。

ラインアップと対応周波数帯
SAWデュプレクサ SAWフィルター
Band P/N Band P/N
1 SAYAV1G95BA0F0A 1 SAFFW2G14AA0E0A
2 SAYAP1G88BA0C0A 2 SAFFW1G96AA0E0A
3 SAYRV1G74BC0C0A 3 SAFFW1G84AA0E0A
5 SAYRV836MBA0F0A 5 SAFFW881MAA0E0A
7 SAYRV2G53BA0E0A 7 SAFFW2G65AA0E0A
8 SAYRV897MBA0C0A 8 SAFFW942MAA0E0A
20 SAYAP806MBA0C0A 40 SAFFW2G35AA0E0A
41 SAFFW2G59AA1E0A
GNSS SAFFW1G56AA0E0A
ISM2.4GHz SAFFW2G45MA0E0A
出典:村田製作所

 村田製作所では、今回、量産を開始したSAWデバイスのラインアップ拡充に取り組む方針で、2020年3月末には700MHz帯から2.6GHzまでの主要な通信帯への対応を行う予定。さらに、5Gで利用が想定される3GHzから6GHzの周波数帯、いわゆる「Sub-6」に対応した製品の開発も進めていくとしている。

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