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芝浦工大、n型有機半導体の簡便な合成法を開発フレキシブルデバイスに応用

芝浦工業大学応用化学科の田嶋稔樹教授は、n型有機半導体を簡易に合成できる新たな方法を開発した。フレキシブルデバイスなどへの応用が可能である。

» 2019年08月01日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

特別な触媒や脱離基は不要

 芝浦工業大学応用化学科の田嶋稔樹教授は2019年7月、n型有機半導体を簡易に合成できる新たな方法を開発したと発表した。フレキシブルデバイスなどへの応用が可能である。

 半導体デバイスは、p型半導体とn型半導体を組み合わせて製造される。有機半導体はこれまで、p型半導体が主に作製され、n型半導体は種類が限られていた。n型半導体もフッ素を導入することで合成できるが、完全にフッ素化された導電性高分子は、合成が煩雑で安定した製造が難しかったという。

 そこで今回は、ヘキサフルオロベンゼンを電解還元した。これにより、特別な触媒や脱離基を用いなくても炭素−フッ素結合が切断され、ペルフルオロポリフェニレン(完全フッ素化導電性高分子)ゲルを簡単に合成することができた。このゲルを乾燥させ洗浄することで、無色透明の薄膜を作製した。

左が合成前、右が合成後の構造式 出典:芝浦工業大学
左(黄色)はペルフルオロポリフェニレンゲル、右(透明)はペルフルオロポリフェニレン膜の画像 出典:芝浦工業大学

 合成した薄膜の原子組成百分率は炭素が60%、フッ素が40%である。また、元素マッピングにより、フッ素が膜全体に均一に分布していることを確認した。

ペルフルオロポリフェニレン膜の元素マッピング(緑色がフッ素) 出典:芝浦工業大学

 開発した手法は、さまざまなn型有機半導体の開発に適用することが可能だという。今後は企業との共同研究を進め、フレキシブルデバイスなどへの活用に取り組む。

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