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» 2019年08月23日 10時30分 公開

IoT機器向けに、新熱電材料を研究:ありふれた元素、わずかな温度差で熱電発電するモジュール (1/2)

NEDO、物質・材料研究機構、アイシン精機、茨城大学は2019年8月21日、「汎用元素だけで構成する新熱電材料」を使った熱電発電モジュールの開発に成功した、と発表した。IoT(モノのインターネット)機器の駆動やBLE通信が可能になる発電量を得ることができるといい、「将来、日本国内で1兆個ともいわれるIoT機器の駆動を支える自立電源としての普及と使途範囲の拡充に貢献する」としている。

[永山準,EE Times Japan]

 NEDO、物質・材料研究機構、アイシン精機、茨城大学は2019年8月21日、「汎用元素だけで構成する新熱電材料」を使った熱電発電モジュールの開発に成功した、と発表した。IoT(モノのインターネット)機器の駆動やBLE(Bluetooth Low Energy)通信が可能になる発電量を得ることができるといい、「将来、日本国内で1兆個ともいわれるIoT機器の駆動を支える自立電源としての普及と使途範囲の拡充に貢献する」としている。

汎用元素のみで構成した新熱電材料「FAST」を使った熱電発電モジュール。1cm角にFASTのチップ14個が搭載されている(クリックで拡大)

どこにでもある元素で構成し「材料費5分の1を実現」

 IoT機器の爆発的増加が見込まれる中で、小型自立電源の開発が進んでいるが、これまでに使用されてきた熱電材料はビスマス・テルル(Bi-Te)材など、希少元素、毒性元素が含まれるなど、コスト、環境面で課題があったという。

 こうした問題を解決するとともに、環境中に排出される「未利用熱」の有効活用に焦点を当て、同グループは(1)エネルギー源は、室温から200℃までの低温排熱、(2)出力レベルは100μW/cm2以上(実用レベルでBLEに対応可能とするため)、(3)材料は、希少元素を含まず、廃棄が容易であること、の3つを目標として掲げ、2018年から新熱電材料を使った電源の研究開発を進めている。

  新熱電材料は、この目標に向けて物質・材料研究機構の主任研究員、高際良樹氏らが開発したもので、「FAST(Fe-Al-Si Thermoelectricの頭文字から)」と名付けられている。名前の通り、鉄、アルミニウム、シリコンという、容易に入手できる3つの「汎用元素」だけで構成しており、環境調和性に優れているうえ、ビスマス・テルル材に比べると、熱電材料費を5分の1以下に削減できるという。

 そして、今回、実験と人工知能(AI)を組み合わせた材料の混合割合の最適化によって高性能化を実現するとともに、アイシン精機が有する既存の「ビスマス・テルル系冷却用ペルチェモジュール」の製造技術を応用し、量産ラインでのモジュール化に「世界で初めて成功した」という。

酸素を除くと、地殻存在量トップ3のシリコン、アルミニウム、鉄のみで構成することで、「低コストかつ優れた環境調和性が実現できている」という(クリックで拡大)
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