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» 2019年08月30日 13時30分 公開

磁気抵抗効果が従来の約800倍:東京大学、新たな電子伝導現象を発見

東京大学は、非磁性半導体と強磁性半導体からなる二層ヘテロ接合を作製し、新たな電子伝導現象を発見した。磁気抵抗効果は従来に比べ約800倍の大きさになることを確認した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

非磁性半導体と強磁性半導体による二層ヘテロ接合を作製

 東京大学は2019年8月、非磁性半導体と強磁性半導体からなる二層ヘテロ接合を作製し、新たな電子伝導現象を発見したと発表した。磁気抵抗効果は従来に比べ約800倍の大きさになることを確認した。

 今回の研究成果は、東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の瀧口耕介大学院生とLe Duc Anh助教、田中雅明教授、同物理工学専攻の小山知弘助教(研究当時)、千葉大地准教授(研究当時)および、福島工業高等専門学校の千葉貴裕講師らによるものである。

 研究グループが作製した二層のヘテロ接合は、非磁性半導体の「InAs(ヒ化インジウム)」薄膜と、アンチモン化ガリウムに鉄を添加した強磁性半導体「GaFeSb」薄膜を積層したものである。InAsとGaFeSbの膜厚はそれぞれ15nmとした。

 これまでも、非磁性体と強磁性体による二層ヘテロ接合を用いた研究は行われていたが、電流と磁性の結合が弱く、磁気抵抗変化は約0.1%にとどまっていたという。そこで研究グループは、全て半導体からなる非磁性半導体と強磁性半導体による二層ヘテロ接合を作製した。

 この構造にしたことで、磁場の向きを変えた時の振る舞いが、これまでの磁気抵抗効果とは異なることが分かった。しかも、磁場を印加したときの電気抵抗の変化は80%に達した。従来の二層ヘテロ接合の磁気抵抗と比べ、800倍も大きい値である。

 開発した二層ヘテロ接合をトランジスタに加工すると、外部から印加する電圧でInAs薄膜中の電子状態を変化させることが可能となる。つまり、ゲート電圧(Vg)を変えることで、磁気抵抗の大きさを制御できることが分かった。

 GaFeSbはInAsに比べ、はるかに抵抗率が高い。このため電流のほとんどがInAsに流れる。ところが、電流を担う電子の波動関数は隣接するGaFeSb層にも一部浸み出し、電流と磁化の結合が生じる。この結果、磁気抵抗効果が得られたとみている。

GaFeSbとInAsを積層した二層ヘテロ接合の構造と磁気抵抗効果のイメージ 出典:東京大学

 なお、今回用いた半導体接合と超伝導体を組み合わせると、「マヨラナ粒子」と呼ばれる新しい物理現象を実現できることも知られているという。

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