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» 2019年09月03日 09時30分 公開

蓄電、車載、医療など幅広く展開:「電池事業を村田の中核に」村田製作所、中島氏

村田製作所は2019年8月28日、リチウムイオン2次電池などを製造する東北村田製作所の郡山事業所(福島県郡山市)を報道関係者に公開した。現地で事業に関する説明を行った同社の専務執行役員モジュール事業本部長の中島規巨氏は、「電池事業は産業のコメ。村田のポートフォリオの中核を担えるように育てていきたい」と話し、電池事業を主力事業の一つとして展開する方針を示した。

[永山準,EE Times Japan]

卒FIT市場向けに新製品も投入、電池事業を強化

 村田製作所は2019年8月28日、リチウムイオン2次電池などを製造する東北村田製作所の郡山事業所(福島県郡山市)を報道関係者に公開した。現地で事業に関する説明を行った同社の専務執行役員モジュール事業本部長の中島規巨氏は、「電池事業は産業のコメ。村田のポートフォリオの中核を担えるように育てていきたい」と話し、電池事業を主力事業の一つとして展開する方針を示した。

専務執行役員モジュール事業本部長の中島規巨氏

 MLCC(多層セラミックコンデンサー)をはじめとした電子部品で高いシェアを誇る村田製作所は、2017年にソニーの電池事業を約175億円で買収し、事業の多角化にも注力している。今回公開された郡山事業所はソニーから買収した電池事業の拠点であり、1991年に世界に先駆けてリチウムイオン2次電池の量産を始めた工場だ。

 村田製作所は事業買収後、中国やシンガポールの生産拠点を中心に、約500億円の設備投資などを実施し、その基盤を強化。また同社のパワーコンディショナーと、旧ソニーのオリビン型リン酸鉄リチウムイオン電池「FORTELION」を組み合わせた蓄電池システムを開発。2018年2月に産業向けにコンテナ型メガワット級蓄電池システムの提供も始めるなど、電池事業を新たな柱とするための取り組みを進めている。蓄電池システムについては、2019年6月から家庭向け商品の販売を開始。卒FIT市場を開拓し、「年間1万台」販売の早期実現を目指す方針だという。

村田製作所の電池取扱商品と主要用途(クリックで拡大)出典:村田製作所

黒字化目標は先送り、ゆくゆくは村田の中核に

 村田製作所はこの電池事業について当初、2019年3月期までの黒字化を目指していたが、中島氏は「目標は少し先送りという形になっている。電池事業が村田全体の利益に貢献してくるのは2022年3月期ごろになるだろう」と述べた。この理由について中島氏は、「需要の高まりによって、われわれが思い描いていたよりも投資が大きくかかっている」としている。

 また、モバイル機器向け電池について、中島氏は、「なかなか差異化が難しい」との課題も示した。技術的な差異化が難しいなか、先行メーカーと対抗するためには多額の投資が必要となるため、「事業をどう見直していくかが損益に掛かってくる」という。ただ、スマートフォン向けの需要が鈍化している一方、「フルワイヤレスステレオ用途の需要がものすごい勢いで伸びている」といい、同社のエナジーデバイス事業部長、阿河圭吾氏は、「求められるのは超小型の電池であり、村田が得意とするところだ」、と説明。市場の進捗に期待を示していた。

 その他、円筒形のリチウムイオン2次電池については、蓄電池システムで新たな市場を開拓していくほか、「計画的に伸びていないのが実情」というパワーツールや園芸工具の動力源の置き換え向けも、「中長期的には間違いのないトレンドだ」(中島氏)として展開を続けていく。マイクロ電池は、車載やIoT(モノのインターネット)機器、医療分野を3本柱として注力していく方針だ。

 また、野洲事業所(滋賀県野洲市)で開発を行う全固体電池についても、「まだR&Dのフェーズは抜けていないが、他社のものとは違う新しい使い方ができるだろう」(阿河氏)と説明。中島氏は、「電池事業は産業のコメ。村田のポートフォリオの中核を担えるように育てていきたい」と強調した。

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