メディア
CEATEC 2019 特集

電池事業を本格化する村田製作所、蓄電池工場を公開買収から2年、技術融合の成果アピ―ル(3/3 ページ)

» 2019年09月10日 11時30分 公開
[永山準EE Times Japan]
前のページへ 1|2|3       

リチウムイオン2次電池の製造工程を公開

 FORTELIONを使った家庭用蓄電池システムは、電極材料の混合、塗装、プレスまでの「電極工程」を本宮工場(福島県本宮市)、その後のスリット、巻取り、組み立て、充放電、梱包までの「組み立て工程」を郡山事業所、システムとしての組み立てを行う「システム工程」を金津村田製作所(福井県あわら市)で行っている。

 この日は、郡山事業所の組み立てから梱包までの工程が公開された。郡山事業所では、まず本宮工場で製造された正極、負極のシートを各電池のサイズに切ってから、絶縁用のセパレーターを挟んで円筒形に巻き取る。その後は、金属の管に入れ組み立て、電解液を注入してフタをし、水とブラシで洗浄して緑色のポリプロピレン製チューブをかぶせる。ここではX線を使って、内部の各シートが正しく巻かれているかを自動で全数検査していた。

公開された工場内の様子。電極の巻き取り、組み立て後の電池セルが、次々とラインを流れていた(クリックで拡大)

 次に、電池セルをトレイに並べ、倉庫内で7〜14日(電池の種類によって異なるという)かけて充放電、エージングを行う。その間に、開回路電圧(OCV)測定を5〜7回実施して各セルが品質基準を満たしているか確認している。説明担当者は「村田のセルは、ばらつきが少ないと高い評価をいただいている」と話していた。この工程も、作業員がセルを敷き詰めたトレイをラインに投入しデータを確認して以降は、倉庫への移動やOCV測定、不良品の排除など全てが自動化されている。

 そして最後に、電池の外観に傷や汚れなどがないかを、検査機器や作業員による目視で検査し、梱包して出荷する。

左=16本×16列の電池セルを入れたトレイを作業員がラインに設置。その後は移動、測定、不良品の排除などが全自動で行われる/中=倉庫に並ぶラックまで、トレイが移動され、7〜14日かけ充放電や測定が行われる/右=最後の外観検査の様子。電池セルの上下については機器が、側面は作業員がチェックする(クリックで拡大)

 こうして出来上がったセルが、金津村田製作所で家庭用蓄電システムとして組み立てられる。

各種用途で展開する蓄電システム

 また、大型蓄電システムの蓄電モジュールやバッテリーマネジメントシステムなどに関しては、中国江蘇省無錫市の拠点で製造後、システムインテグレーターやメーカーが、パワーコンディショナーと合わせて組み立てているという。このシステムは日本のほか欧州、オーストラリア、カナダ、プエルトリコなど国内外で、公共施設などの非常用電源や工場の瞬時電圧低下対策、オフグリッド用などとして幅広く展開している。

公開された産業向けのコンテナ型メガワット級蓄電システム。工場などでの瞬時電圧低下対策向けで、4Uサイズの蓄電池モジュールを2並列9直列構成で収納した19インチラックを14台が、制御用のパワーコンディショナーとともに設置されていた。このコンテナでは電池容量は約0.5MWh。コンテナサイズやラック数によってはさらに大容量も可能という(クリックで拡大)
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.