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» 2019年11月12日 12時00分 公開

インフィニオン テクノロジーズ ジャパン IPC事業本部長 針田靖久氏:逆風でも堅調、カスタマイズ強化し日本で急成長続ける (1/2)

省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、近年注目を集めるパワー半導体。次世代素材の開発など競争が激化する中、主要メーカーはいかに戦っていくのか。今回は、パワー半導体を主力とし世界トップクラスのシェアを誇る独Infineon Technologiesの日本法人インフィニオン テクノロジーズ ジャパンにおいて産業機器分野などを中心に事業を統括するインダストリアルパワーコントロール(IPC)事業本部の本部長、針田靖久氏に話を聞いた。

[永山準,EE Times Japan]

 省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、近年注目を集めるパワー半導体。次世代素材の開発など競争が激化する中、主要メーカーはいかに戦っていくのか。今回は、パワー半導体を主力とし世界トップクラスのシェアを誇る独Infineon Technologiesの日本法人インフィニオン テクノロジーズ ジャパンにおいて産業機器分野などを中心に事業を統括するインダストリアルパワーコントロール(IPC)事業本部の本部長、針田靖久氏に話を聞いた。

中国再生エネルギー市場が活況、逆風の中でも成長を続ける

――まずは、業績の振り返りをお願いします。

インフィニオン テクノロジーズ ジャパンのインダストリアルパワーコントロール(IPC)事業本部長、針田靖久氏

針田氏 グローバルの半導体マーケットは2016年から2年間、誰もが予想しないような伸び方をしたが、2019年は大きく落ちる予想になっている。この落ち幅は、リーマンショックの影響を大きく受けた2009年よりも金額ベースでは大きくなるともいわれている。しかし全体的な流れでは、パワー半導体をはじめとして需要は2020年には回復に転じると多くのアナリストが予測しているのが現状だ。

 われわれも同様で、特に環境問題などからくるエネルギー効率への要求はグローバルのメガトレンドであり、大きく見れば右肩上がりであることは間違いない。また、われわれIPC事業本部は、足元の市場がこうした逆風であっても2019会計年度第3四半期の売上高は3億5700万ユーロと、前年同期比で数パーセントながら成長をしている。IPCのビジネスは、出荷先ベースでは中国が3分の1ほどを占めているのだが、中国の再生エネルギー市場が活況であることが1つの要因といえる。

IPC事業本部の四半期売上推移(クリックで拡大)出典:Infineon Technologies

 2018年市場が落ち込んでいく過程の中にあって、IGBTなどのパワーディスクリートで前年よりも若干ながらわれわれは世界シェアを伸ばした。正直にいえば、われわれのシェアは2016年に37%台に入って以降かなり高止まりの状態である競合他社がある中で、さらに40〜50%へとシェアを拡大させる、というのは現実的ではない。現状、2位以下とかなり差をつけての首位であり、このシェアを確実にキープしていく。IGBTモジュールについてもディスクリートと同様、2位以下の3倍以上のシェアで首位となっている。一方、インテリジェントパワーモジュール(以下、IPM)のシェアは約12%で現在3位で、IGBTモジュールやディスクリートと比較して低いが、その分伸び率は高く、さらに伸びることを期待している。

能力拡大に継続投資、2021年には300mmの新工場完成

――能力拡大の方針について教えてください。

針田氏 まず、現時点で300mmウエハー対応の工場をしっかりと生産技術を確立して稼働させているのはInfineonだけだ。IPC事業部門としては独ドレスデンとオーストリアのフィラッハ、そしてマレーシアのクリムに前工程の工場を持っている。このうちドレスデンには200mmと300mmの工場があり、300mmの主力工場として稼働している。クリムは200mm、フィラッハは150mmと200mmの工場をそれぞれ有している。

 現在は、前述の需要を見据えドレスデンの300mm工場の能力増強を積極的に進めている。もともと10年ほど前にDRAMの300mm生産ラインがあった場所で、すでにクリーンルームがあったのだが、現在のところまだフルで設備が入っていない状態だ。ここに2020年まで、新規に設備を追加していく。さらにドレスデン工場が一杯になった後の対応として、フィラッハに300mmの工場を新たに建設している。ドレスデンの300mm工場をいわばコピーペーストするように生産技術を立ち上げ2021年の初頭には量産開始する予定。継続して投資しキャパシティーを増やしていき、フル操業時は金額ベースで年18億ユーロ規模の生産能力を持つことになる。このように、われわれはグローバルで30%以上のシェアを持つメーカーとして、しっかりと供給を対応するのがミッションと考えている。

 また、製品群の多彩さも重視している。ホームアプライアンスや、HVDC(高圧直流送電)、ソーラーなど用途によって必要とされるパワーの領域は異なるが、比較的低パワーのものはドライバーICやディスクリート部品、SSR(ソリッドステートリレー)、IPMなどで対応する。ミッドパワーのものはIGBTモジュールで、さらにハイパワーのものはこれをスタックしたもので、というように100Wから10GWまでかなり広いレンジのアプリケーションの要望に対応できる製品がある。さらにこの品ぞろえを拡充していくことに重点を置いている。

IPC事業本部の製品ポートフォリオ(クリックで拡大)出典:Infineon Technologies

 いろいろな用途をカバーしているからこそ、全体的にスローダウンしている現在の市況のなかにあっても活況を呈しているアプリケーションに強いなど、キャパシティーと品ぞろえの広さという強みを生かして成長を続けることができた。

製品の統合で幅広いソリューションを提供

針田氏 さらに、さまざまな製品をインテグレーション(統合)して提供する取り組みも進めている。スイッチやゲートドライバー、PFCのカスタムや、ディスクリート部品で提供し顧客が基板デザインをするという所から、全てを統合してMCU(Micro Controller Unit)を作るというような形まで、いずれも提供できるのが強みだ。特に現在は、コントローラーとパワー素子、ゲートドライバー全てを含んだスマートIPMである「iMOTION」に力を入れている。

――Cypress買収による効果について。

針田氏 最終的なアプローバル(許認可取得)に至っていないが、製品の重複が極めて少ない補完関係にあり、特に通信技術やマイコンを補充することによってInfineonが、フルソリューションとして提供ができるようになる、ということは大きな強みになるだろう。例えば、エアコン向けに提案する場合、当社のゲートドライバーやIGBT、IPMにCypressの技術や製品を統合することで、丸ごとシステムで提供が可能になるといった具合だ。

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