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NIとETASが合弁設立、“一部構築済み”のHIL提供へ自動車のテストをより柔軟に

National Instruments(以下、NI)は2019年11月14日(米国時間)、ETAS(イータス)と合弁会社ETAS NI Systemsを設立し、自動車業界に向けた検証システムを提供すると発表した。

» 2019年11月19日 15時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 National Instruments(以下、NI)は2019年11月14日(米国時間)、ETAS(イータス)と合弁会社ETAS NI Systemsを設立し、自動車業界に向けた検証システムを提供すると発表した。

National InstrumentsのChad Chesney氏

 NI Transportation Businessでバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるChad Chesney氏は、自動車業界の設計者が抱えている課題として、自動車のシステムが複雑化していること、テスト時間の短縮が要求されていること、テストエンジニアが少なくなっていることを挙げ、「これらの課題を解決するためには、テストシステムの柔軟なカスタマイズが重要になる」と述べた。

 NIが手掛けるテストシステムは、ソフトウェアで定義するモジュール型計測器をベースにしているため、もともとカスタマイズはしやすいが、NIはそれに加えて、サードパーティー(NI Alliance Partners)や協業メーカーを増やすなど、エコシステムの強化にも力を入れてきた。

 例えば、パワーエレクトロニクスのHILSシステムを手掛けるカナダのOPAL-RT Technologiesや、カメラやLiDARなどセンサーのシミュレーションを手掛ける米国のmonoDrive、ベルギーのAkka Technologiesなどと協業している。さらに、NIは2018年12月、パワーエレクトロニクス技術を手掛けるベルギーTriphaseを買収した他、MathWorksとモデル統合についての協業を開始した。ETASとの合弁設立も、エコシステムを強化する取り組みの一環である。

 ETAS NI Systemsは、テストシステムの一部を構築したプラットフォーム“Pre-integrated HILシステム”を、NI Alliance PartnersやETAS、その他のシステムインテグレーターに提供する。同プラットフォームをベースに、エンジン、ブレーキ、ADAS(先進運転支援システム)など、それぞれに向けたHILシステムを構築できる。これにより、テストシステム設計の時間が短縮され、テストシステムの仕様を柔軟に変更できるようになるとChesney氏は述べる。

ETAS NI Systemsは、テストシステムの一部を構築したプラットフォーム“Pre-integrated HILシステム”を提供する 出典:National Instruments(クリックで拡大)

 ETAS NI Systemsは2020年1月1日までに業務を開始する予定だ。Chesney氏によれば、NI、ETAS双方から人員が異動することになるが、詳細はこれから決めていく段階だという。

4GHzの帯域幅に対応したレーダーテストシステム

 NIは2019年11月14日、「EV(電気自動車)向けHIL(Hardware-in-the-Loop)リファレンス・テストアーキテクチャ」と、帯域幅が4GHzの車両レーダーシステム(以下、4GHz VRTS[Vehicle Radar Test System])も発表した。

 EV向けHILリファレンス・アーキテクチャは、EVのトラクションインバーター、DC-DCコンバーター、充電器といったパワートレインのコンポーネントを対象としたもの。OPAL-RT Technologiesなどと協業して構築されたHILシステムで、インバーター周りのコンポーネント(バッテリーパックやOBC[On Board Charger]、パワーエレクトロニクス、モーターなど)はOPAL-RT Technologiesのシミュレーションモデルが使われている。

「EV(電気自動車)向けHIL(Hardware-in-the-Loop)リファレンス・テストアーキテクチャ」は、EVのパワートレインを対象としたHILシステム 出典:National Instruments(クリックで拡大)

 4GHz VRTSは、特に79GHz帯への移行を見据えて開発されたもの。NIの既存品では帯域幅が1GHzだったが、今回の新製品では4GHzにも対応する。シミュレーションの範囲は2.5〜300m。

4GHzの帯域幅に対応した新しいVRTS 出典:National Instruments(クリックで拡大)

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